概要 |
国立成育医療研究センターアレルギー科の大矢幸弘医長、同産科の小川浩平医師らのグループは、切迫早産の治療として用いた妊婦の経静脈的な(点滴での)塩酸リトドリンの使用と出生児の5歳における喘息有症率との間には有意な関連があり、塩酸リトドリンを使用した群で発症リスクが高くなることを成育医療研究センター内のコホートデータを使用した解析で見いだしました。さらに詳しく解析すると、累積使用量や使用日数が多い(20日以上)ケースでそのリスクが高くなっていました。 本研究における喘息の診断は質問紙票による症状に基づくものであり、実際の呼吸機能や気道過敏性の評価は行っていないため、その解釈には一定の注意が必要と考えられます。さらに、5歳の子どもの喘息は就学後に自然治癒することも多く、塩酸リトドリンが5歳以降どのように関連していくのかに関しても、さらなる長期間の追跡が必要であると考えています。 この研究は疫学的に妊婦の静脈的リトドリン投与と児の喘息有症率とを検討したものです。本研究で示唆された結果は、生理的な機序の解明や他の集団でも同一の結果が得られるかどうかなど、今後の課題も残しています。塩酸リトドリンの長期使用に関しては、使用による早産予防効果と児への影響などのリスクの双方を鑑みて決定することが重要です。 |
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備考 | 詳しくはプレスリリースをご覧ください。 |
情報発信元 | 国立成育医療センター |
情報掲載URL | https://www.ncchd.go.jp/press/2017/tocolysis.html |