ぜん息と痰の関係

本誌編集委員長を務める田中一正先生(昭和大学特任教授)は、アレルギー専門医・呼吸器内科専門医として長年、ぜん息治療に携わっています。痰で悩むぜん息患者さんもおり、痰を知ることは自分の病気を知ることにつながります。ぜん息と痰の関係をうかがいました。

痰ってそもそも何でしょうか

空気の通り道である気道の表面には繊毛があり、肺から喉の方向へものを送り出すように運動しています。表面は粘膜から分泌される粘液で、いつも濡れた状態になっています。胃や腸は入口と出口がありますが、気道の先にある肺は行き止まりで出口がありません。呼吸によって空気と一緒に入ってくる細菌やちりなどの異物が肺に入らないよう、粘液が異物をくるみ、繊毛が運び、咳などと一緒に口から吐き出されたものが痰です。体を異物から守る役割をしています。

ぜん息との関係は?

ぜん息になると、粘り気の強い痰が出るようになります。発作が起きて気道の内側の空気の通り道が狭くなっている時に、粘り気の強い痰がからむと、呼吸が困難になり危険な状態になることもあります。

痰でわかることがありますか

ぜん息の痰は無色透明ですが、黄色の痰が出るようであれば、細菌やウイルスなどによる感染が起きている可能性があります。そのままにしているとぜん息が悪化する恐れがあるので注意しなければなりません。痰を調べることで、ぜん息のタイプがわかることもあります。