パパさん記者レポートVol.01

病気に負けない!
親子で作る明るい
ぜん息ライフのコツ

「普通の子のように生きられない?」我が子がぜん息と診断された保護者には、不安や戸惑いがあるもの。実際にぜん息の子どもを持つ記者が、保護者の視点から気になることを、国立病院機構相模原病院臨床研究センター 病態総合研究部 病因・病態研究室 室長の佐藤さくら先生にいろいろと聞いてみました。

パパさん記者

プロフィール

ぜん息歴14年の中学生の息子を持つ雑誌記者。「息子が小さかった頃の取り組み方は正しかったのか」と、今も思い返す日々

佐藤 さくら先生

プロフィール

国立病院機構相模原病院臨床研究センター病態総合研究部病因・病態研究室室長。共著書に「保護者からの質問に自信を持って答える 小児食物アレルギーQ&A」(日本医事新報社)。好物は寿司(特に中トロ)

事例01 夜間や外出先……。
突然来る発作に
どう対処する?

夜間や明け方に発作が起きた際、自宅でどのような対応をしたらよいのかわからない…。といっても、救急車を呼ぶのはさすがにためらわれます。
また、旅行や外出先など土地勘のない場所で発作が出たら「近くに救急病院がない」など、困ったシチュエーションは多いもの。「まさかのタイミングでの発作」は無視できないリスク。こんな時、どうしたらいいの?

日頃の準備や正しい知識を持つことが大切

パパさん記者

夜間に発作が起きると、どうしても焦ってしまいますね。

佐藤 さくら先生

そうでしょうね。当時かかっていた医師から、そういう時の指導はありましたか?

パパさん記者

覚えていません……。してくれるお医者さんと、そうでないお医者さんがいるんですか?

佐藤 さくら先生

当院では「小児気管支喘息治療・管理ガイドライン」に沿って、家でこんな症状が出たらこう対処を、と指導します。薬もあらかじめ、元気な時は使わないけど発作が起きたら使うものを処方します。日頃からそうした指導をしてくれる医師が近くにいると、安心ですね。逆に、そこをしっかり対応してくれない場合は、かかる先を代えることも考えるべきかもしれません

パパさん記者

かかりつけ医に任せっきりではなく、心配なことは保護者が自ら確認していくべきですね。

佐藤 さくら先生

医師も、短い診察の最中にそこまで気が回らないこともあるので、保護者から医師に聞くのは大事です。発作が起きた時の対処法や用法用量なども医師に聞いておくと安心ですね。
子どもに持たせる吸入器も今はコンパクトで電源が不要なものもありますし、飲み薬も昔よりだいぶ使いやすくなっていますよ。

パパさん記者

コンパクトであれば携帯も簡単ですし、電源が不要であれば、旅行などで外出した際の急な発作にも対応できます。災害時の避難袋にも必須ですね。緊急対処薬はどれくらいもつものですか?

佐藤 さくら先生

液状の吸入薬なら1年、錠剤は長いものなら2年くらいもちます。分包された粉薬は、3カ月〜半年くらいで新しいものに替えていきましょう。
また、旅行や帰省の際には近隣の救急病院の情報などをあらかじめ調べておくことも大切ですよ。

事例02 夫と妻、親と子ども。
ぜん息と向き合う
家族のあり方は?

子どものぜん息と、どう向き合うか。夫婦の間でも意見が食い違うことがあるもの。子どもを心配するあまり両親それぞれが違う方法を持ち出し、あれこれとぶつかったり、あるいは逆に、どちらかに任せっぱなしになってしまったり……。
長く付き合う病気だからこそ親同士の連携、そしてぜん息を抱える子どもに親としてどう接するべきかは、気になるところ。ぜん息に負けない家族のカタチ、教えてください!

子どもが主役の管理方法と親子のコミュニケーションがカギ

パパさん記者

ぜん息の調子が良い時は、子どもが治療をさぼり気味になります。それを指摘すると、ついつい言い争いになってしまうことがあります。親としてどのように接していくと良いのでしょうか?

佐藤 さくら先生

ぜん息の症状が出なくなってくると、本人が服薬をサボるようになる場合はよくありますね。お子さん自身が「ぜん息は薬で抑えられる病気ですが、きちんと治療していなければぜん息の症状が再び出る」ということを理解することが大事です。
さらに子どもが成長するにつれ、親の言うことを聞かなくなる場合もあり、病気のコントロールがうまくいかなくなることもあります。成長とともにお子さんが主体となって治療をするようにシフトしていくと良いでしょうね。診察室でも「子どもが素直に薬を飲んでくれない」という声を聞きますが、実は普段の親子関係から、うまくいっていない場合もあります。ベースになる関係性がおざなりなまま、病気のことだけうまく進めるのは無理ですよね。

パパさん記者

夫婦間で意識にズレがあるケースもあるんでしょうね。

佐藤 さくら先生

そうですね。どちらかにまかせっきり、というのはやはり良くないですね。でも、ご両親ともに一生懸命になりすぎて、お子さんに対してキリキリとし過ぎたためにお子さんとの関係が崩れてしまうこともありますから。どちらかがメイン、もう一方はサポートに回る、なんてくらいがちょうどいい。「そこまでしなくても大丈夫ですよ」と思う人も、たまにいますから(笑)。

佐藤 さくら先生 写真

先生からのアドバイス

佐藤 さくら先生
病気についての理解を家族で深めましょう

正しい知識。人任せにしない姿勢。親子や夫婦同士の普段からの信頼関係。そして、必要以上に気負わず、気長に構えること。長く付き合うぜん息に、子どもがめげずに生きていくには、親が強くて柔軟な心を持つことが一番の良薬です!