パパさん記者レポートVol.02

先生がアドバイスぜん息と闘う子育て体験記

ぜん息と闘う子どもを持つ記者が、「対応はこれでよかったのか?」と悩む日々をつづった体験記をご紹介します。その対応について、東海大学医学部付属八王子病院 医学部医学科 総合診療学系小児科学 特任教授の山口公一先生にアドバイスをいただきました。

パパさん記者

プロフィール

現在16歳になる息子さんをもつ雑誌記者。1歳のころから食物アレルギーやぜん息、慢性鼻炎を患っている子どもに対して、当時の対応や今の対応は適切だったのか、思い返す日々。

山口 公一先生

プロフィール

東海大学医学部付属八王子病院 医学部医学科 総合診療学系小児科学 特任教授。日本小児科学会 専門医・認定小児科指導医、日本アレルギー学会 指導医、専門分野は小児アレルギー疾患。日本感染症学会 インフェクションコントロールドクター、東京都アレルギー疾患対策検討委員会委員。

体験記1 ぜん息と食物アレルギーの関係

1歳くらいまで小麦と牛乳、花粉のアレルギーが出ており、食事にも制限がかけられていました。食物アレルギーなどがあるとぜん息にもなりやすいと聞いていたので、子どものアレルギーには少し敏感になっていました。
食べ物については、医師から注意のあったもの(特に小麦粉)は避けました。
食物アレルギーとぜん息の両方を持っていましたが、受診する医療機関は継続的な通院も考え、家から近い小児科の病院を選びました。
後で知りましたが、小児科の中でもアレルギー専門や呼吸器を専門としている医療機関もあるようなので、本当にこの選択でよかったのか、疑問に思っています。

ぜん息と食物アレルギーの関係のイメージ

先生からのアドバイス

緊急性を考えると、アクセスのよさも理由として大切です。子ども特有の体や心の問題が起こる場合もありますので、子どもの診療に慣れている小児科を選択するとよいですね。

小学校に入って体力がついたころ、医師からは「食物アレルギーは問題ないところまできた」と告げられ、徐々に小麦製品や乳製品も試していき、問題がなかったことで、現在は特に気を使うことはなくなりました。
今思えば、ぜん息があったことで他のアレルギーもあった可能性もあり、他のアレルギー検査もしっかり受けた方がよかったのでしょうか。

先生からのアドバイス

アレルギー症状の原因を推測するために検査を受けてみてもよいと思います。ただし、アレルギー検査の結果は、実際の症状と異なる場合があります。参考になりますが、その結果が全てではありません。

体験記2 年ごろの子どもとの接し方について

息子は鼻炎持ちのため、いつも口を開けて呼吸しています。

先生からのアドバイス

鼻がつまることによる口呼吸は、口腔内乾燥により感染症にかかりやすくなります。鼻炎の治療もしましょう。

見た目にもよくないですし、咽喉や肺への影響も心配ですが、自分の意見を持ちはじめる年ごろゆえ、注意してもなかなか素直に聞いてくれません。

先生からのアドバイス

無理に治療を押しつけるような伝え方ではなく、ぜん息のコントロールをよくするため、そしてその結果自分のやりたいことができるようになるため、といったような『本人が自発的に治療を行うよう促す』伝え方が大切です。

また、ぜん息を持っているので呼吸器を強くできればという思いもあり、小さいころは水泳に、その後は地元のチームでサッカーに親しませました。中学に入学してからもサッカー部で活動していましたが、高校生になると文化系の部活に入りました。
ぜん息のためにも、親としては運動を続けてほしいものですが、今、楽しそうにしている当人をみると、運動を強制するような声かけは避けるべきでしょうか。

年頃の子どもとの接し方についてのイメージ

先生からのアドバイス

運動で大事なことは「継続する」ことです。しかし好きな運動でなければ非常につらい思いをさせてしまいます。無理をさせず、その子に合った活動をさせてあげることが大切です。

山口 公一先生からのアドバイス

花粉症などの合併症には特にご注意を

近年、薬の進歩により気管支ぜん息のコントロールは非常によくなってきましたが、まだ油断はできません。慢性鼻炎や花粉症などの合併症があるとぜん息にも悪影響を及ぼしますので、できるだけ良好な状態を保てるようにかかりつけ医に治療の相談をしましょう。