呼吸を整え心もカラダもリラックス! 呼吸筋ストレッチ体操で
息苦しさを改善しよう

皆さんは、緊張や不安、ストレスを感じたとき、無意識に呼吸が浅く、速くなったことがあると思います。それは、人の脳の中で、感情の動き(情動)と呼吸を司る場所が一緒なため、感情が変化すると、呼吸もそれに合わせて変化するからです。ぜん息やCOPDの方にとっても、不安やストレスは呼吸に影響を及ぼし、息苦しさにつながることがあります。そこで今回は、呼吸を整えて気持ちを落ちつける呼吸筋ストレッチ体操を、アメリカンクリニック東京の赤井利奈先生に教えていただきました。

感情の動きと呼吸が連動する情動呼吸とは

人の脳の中にある扁桃体という場所は、感情の動き(情動)と呼吸の両方を司っています。そのため緊張や不安、ストレスを感じると速く浅い呼吸になり、反対にリラックスするとゆっくり深い呼吸になります。この情動と呼吸が連動することを『情動呼吸』と呼び、この情動呼吸は、ときに不安やストレスの悪循環を引き起こすことがあります。
不安や緊張を感じて呼吸筋がこわばると、呼吸の効率が下がります。すると呼吸が浅く早くなり、さらにそれが、不安や緊張を増幅するという悪循環に陥るのです。
ぜん息やCOPDの方は、このような呼吸の悪循環に陥ることで症状が悪化する可能性があります。しかし、意識的にゆっくり深く呼吸をすることで呼吸を改善すれば、情動と連動するため、心が落ちつき、悪循環から抜け出すことができます。

感情の動きと呼吸が連動する情動呼吸とはのイメージ

毎日続けることで呼吸筋はどんどんやわらかく

今回紹介する呼吸筋ストレッチ体操は、肩や胸、背中などの筋肉をストレッチすることで、呼吸機能を高め、呼吸が自然と深くなだらかに変化し、不安やストレスを和らげる効果があります。ストレッチなので、継続すれば徐々に呼吸筋がやわらかくなりますが、やめてしまうと徐々に元のかたさに戻るので、毎日続けることがおすすめ。また、一人で続けられないときはご家族一緒に行うとよいでしょう。普段から呼吸筋をやわらかくしておくと、緊張する場面で呼吸筋ストレッチ体操を行ったときに、よりリラックス効果が期待できます。
ぜん息やCOPDの方は、息苦しくなるのではないかという不安から、趣味や好きなスポーツを諦めることがあるかもしれません。そんな方は、ぜひ呼吸を整えるこの体操を習慣にし、自信を持って生活できるようにしましょう。

毎日の習慣に! 呼吸筋ストレッチ体操で気持ちもゆったり

この体操は、肩、胸、背中の呼吸筋をストレッチします。どの体操も、とても簡単で誰でもできます。
また、道具もいらず2~3分の時間で行えますので、朝起きたときや夜寝る前、ちょっとした合間にもぜひ試してみてください。

\ こんなときにやると効果的 /

  • 試験前
  • 不安
  • 落ちつきたい
  • 息苦しい
  • 緊張
  • 気持ちの
    整理が
    つかないとき
  • 試験前
  • 不安
  • 落ちつきたい
  • 息苦しい
  • 緊張
  • 気持ちの
    整理が
    つかないとき

注意点

  • 呼吸は鼻から吸って、口から吐く
  • なるべくゆっくり行う
  • 足は肩幅に開く
  • 痛みが出た場合、すぐにやめる
肩のストレッチ目標回数:3回
  1. 1息を吸いながら肩を上げていきます。
  2. 2息を吐きながら、肩を後ろに回して元に戻します。
肩のストレッチのイメージ
胸のストレッチ目標回数:3回
  1. 1手は後ろで軽く組み、ゆっくり息を吸います。
  2. 2息を吐きながら、肩甲骨を寄せて胸を開き、腕を斜め下に伸ばしていきます。
胸のストレッチのイメージ
背中のストレッチ目標回数:3回
  1. 1腰を痛めないよう膝を曲げ、手は胸の前で軽く組みます。
  2. 2ゆっくり息を吸いながら、腕を前に伸ばします。
  3. 3息を吐きながら、腕を元に戻します。
背中のストレッチのイメージ

赤井 利奈 先生 顔写真

アメリカンクリニック東京 心理士 赤井 利奈 先生

先生からのアドバイス

ぜん息やCOPDの方は、不安やストレスなどが息苦しさにつながらないよう、ぜひこの呼吸筋ストレッチ体操を続けて普段から呼吸を整えてほしいと思います。

プロフィール

あかい・りな/医学博士、心理士。ハーバード大学卒業後、博士号を取得。昭和大学医学部出身。東京有明医療大学在籍。呼吸と情動に関する研究を続けながら、エビデンスに基づいた呼吸筋ストレッチ体操を指導し、より健康的なライフスタイルへのアドバイスも行っている。