さまざまな洋画の吹き替えやアニメの声優として、またナレーターや歌手としても多くのファンを魅了している森川智之さん。そんな森川さんが突然ぜん息を発症したのは、声優として脂が乗り、忙しい日々を送っていた40歳のころでした。
森川さんが声優を目指したきっかけは、学生時代のこと。
「高校生の時、体育教師になりたかったんです。でも、所属していたアメリカンフットボール部の合宿中、頚椎に後遺症が残るような大けがをして教師になる夢を諦めることに。どうしようか迷っていた時、声が大きかったこともあって、声を活かした仕事につきたいと思い、声優学校の門を叩いたことが声優を目指したきっかけなんです」と、当時を振り返ってくれました。
そんな森川さんが声優として充実した日々を送るなか突然、喉に異変が。
「発熱などの風邪の症状は出ていないのに空咳が出るようになって。頑張れば乗り切れるだろうと思い市販薬でやり過ごしていたのですが止まらず、ついには眠りにつくときに耳元で鳥が『ピーピー』と鳴くような音が聞こえてきました」
森川さんは、その音に聞き覚えがありました。森川さんには5歳下の弟さんがいて、小さい頃は救急搬送されることがあったほど、ぜん息の症状が重かったそうです。聞き覚えがあった音というのは、当時耳にした弟さんのぜん鳴と同じものでした。
仕事に支障が出るため病院へ行くと、医師からは「ぜん息」と診断されました。声を仕事にしている森川さんは大きなショックを受けましたが、家族や仕事仲間に心配をかけまいと、ぜん息のことは伏せていました。
しかし、声優の収録現場では、唇を開いたり閉じたりするときのかすかな音ですら「リップノイズ」と言われるほどデリケートな世界。すごく気を使わなければいけないのに、ヒューヒューなどのぜん鳴や咳が入るなんてもってのほか。キャラクターが咳をするシーンでは、自分が本当の咳をしてしまい止まらなくなることも。「皆にきちんと話して、正面からぜん息と向き合わなければいけないと思いました」という森川さん。医師にも自分が声優であることを告げると、すぐに状況を理解してくれ、薬の飲み方や体調管理などを一緒に考え全力でサポートしてくれたといいます。
それからは、常に自分の体調と向き合うことに全集中。
「僕はコロナ禍の前から、うがい、手洗いはもちろん、夜寝る時は喉を冷やさないよう首にタオルを巻き、マスクをして口の中の乾燥を防いでいます。不調の兆候が少しでもあれば、すぐに病院へ行って対処しています。トム・クルーズが鼻声じゃ怒られちゃいますから」と、さすがは声のプロという徹底ぶり。
そのおかげで、風邪で休んだり、ぜん息でその日の収録をキャンセルしたりということはなくなったといいます。
最後に「ぜん息と向き合うことで、人生をより豊かに過ごせるようになったと思います」と、素敵なメッセージをいただきました。
1967年生まれ。神奈川県出身。1987年のデビュー以来、声優としてはもちろん、歌手やナレーター、タレントとして幅広く活躍。洋画ではトム・クルーズやキアヌ・リーヴス、ユアン・マクレガーなどの吹き替えを担当する一方、演じたアニメの人気キャラクターも枚挙に暇がない。2011年にはアクセルワンを設立して社長に就任。映画やテレビ作品に出演するとともに、新人声優の育成にも力を注いでいる。
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