
横浜市は2012年から、大気汚染の影響による健康被害の予防と健康の確保を図ることを目的に、ぜん息やアレルギーをテーマとした市民向けの「ぜんそく予防等講演会」を開催してきました。2025年10月2日には、横浜市役所で市民向け講演会「こころとからだを整える呼吸の力―呼吸筋ストレッチ体操でより良い明日を―」を開催しました。横浜市のぜん息予防への取組を紹介します。
今回の講演会には、昭和医科大学名誉教授でNPO法人安らぎ呼吸プロジェクト理事長の本間生夫先生をお迎えし、100人を超える市民に参加いただきました。
本間先生は、呼吸の役割や肺の動きをアニメーションにし、「肺は自ら動くことができず、胸郭の動きによって空気を取り込むこと、そしてその胸郭を動かすのが『呼吸筋』と呼ばれる筋肉であること」を視覚的に紹介しました。
また、呼吸と姿勢には密接な関係があることにも言及し、「呼吸筋の働きが弱まると呼吸が浅くなり、姿勢も崩れがちになりますが、逆に姿勢を整えることで呼吸も深くなり、心身の安定につながります」と話しました。本間先生は「日々の生活の中で、呼吸を意識することは少ないかもしれません。しかし、呼吸の質を高めることが、健やかな暮らしへの第一歩になります」と訴えました。
本間先生のグループは2011年の東日本大震災後、被災地の小学校で呼吸筋ストレッチ体操を子どもたちに教えた活動事例を紹介しました。
当時のことを振り返り、「被災地の小学生は、呼吸筋ストレッチ体操により呼吸数も不安度も下がりました。感情(情動)と呼吸は密接に結びついており、呼吸を整えることで、心が癒されることが明らかになりました」と話しました。そして、「不安になった時は意識して、ゆっくりとした呼吸をしてみてください。良い呼吸でたくましく生きましょう」と呼びかけました。
呼吸筋ストレッチ体操のレクチャーでは、参加者全員が実際に体を動かして体験しました。講師からは、「吸う」「吐く」に合わせて該当する筋肉を意識しながらストレッチを行うようにと説明があり、参加者は全員で呼吸の流れを合わせながら体験していました。また、参加者4人の呼吸を測定し、「緊張すると呼吸が早くなること」を会場前方の巨大モニターでリアルタイムにデータを示すことにより、呼吸と感情の関係についても理解を深めてもらいました。
参加した女性は「呼吸の仕方によって感情をコントロールすることができると知り、とても有意義でした。実際に体を動かすことで、呼吸の大事さを改めて認識できるよい機会でした」と笑顔を見せていました。
横浜市は、本イベントの参加者が自宅でも体操を振り返ることができるように「呼吸筋ストレッチ体操」の冊子とDVDの配布を行い、「呼吸への意識」が市民生活に根付くような工夫をしています。
●本間先生ご監修の冊子はERCAで配布しております。ご希望の方はこちらの「COPDのパンフレット」よりお申し込みください。(別ウインドウで開きます)
手で頭を押さえつけず、首の斜め後ろが気持ちよく伸びる程度で行います。
肩の位置は変えず、肩甲骨が上がらないように注意します。
かかとが床から離れないように注意しながら上げましょう。
横浜市では、無料のぜんそく個別相談を横浜市立みなと赤十字病院と連携して実施しています。
成人ぜんそく個別相談は、15歳以上(中学生を除く)が対象です。こどものぜんそく個別相談は、保護者のみでも、子どもと一緒でも相談可能です。
事前予約をすることで、1時間程度の相談を受けられます。相談では、保健師や看護師による問診のあと、専門医が診察を行い、症状が出たときの対処方法や今後の治療方針、症状の見立てなどのアドバイスが受けられます。令和6年度は、成人29人、子ども32人が相談に訪れました。
初めて相談する方はもちろん、セカンドオピニオンを求める方など、さまざまなニーズに応じた柔軟な対応が行われています。
今回の市民向け講演会は、告知から2日で満席になり、呼吸や呼吸筋ストレッチ体操への市民の関心の高さが示されました。
ぜんそく個別相談を受けた方からは「医療機関で治療を受けていますが、専門医のアドバイスをもらえて有意義でした」といった感想が寄せられています。
今後も、ぜん息・COPD患者の方に役立つ情報提供、事業を進めていきたいと思います。