「薬を、つい飲み忘れてしまう」「飲みきれなかった薬は…」。そんな経験をしたり、疑問を持ったりしたことはありませんか。薬はあなたの体を守る大切なパートナーです。しかし、保管の仕方や飲み方に気をつけないと、予期せぬ体調の変化につながることもあります。
近年は、注射器や酸素吸入のチューブなど、医療用器具の“ゴミの捨て方”も悩みの種です。薬との付き合い方を基本から見直してみませんか?小児アレルギーエデュケーターとアレルギー疾患療養指導士の資格を持つ、管理薬剤師の上荷裕広(うわに ゆきひろ)先生に薬との付き合い方を伺いました。
ぜん息・COPD患者にとって薬を上手に使うことは大事です。ぜん息症状が出ていると日常生活に支障をきたしますし、子どもの成長・発育にも影響を及ぼします。しっかりと薬で治療すれば、症状をコントロールできるようになります。
COPDに関しては、長い時間をかけて向き合っていく病気だということを認識していただきたいです。しっかりと薬で治療して今の状態を一日でも長く続けるようにしましょう。
ぜん息・COPDはどちらも呼吸にかかわる病気です。「息をする」ということは生きていくうえで一番大切なことです。ちょっと症状が改善したということで薬をやめてしまうと、またぶりかえしてしまいます。生活の質を保つためにも、薬を継続する必要があります。
薬の飲み忘れは、どうしたら防げるのでしょうか。子どものぜん息では、寝る前に服用する薬を処方されることが多いですが、「飲み忘れたまま寝てしまっていた」ということがよくあります。飲み忘れ防止のためには、歯みがきをしたあとに飲むなど、服薬のタイミングを生活の中に習慣づけることが大事です。
飲み忘れた時の対応ですが、1日1回の薬なら、どのタイミングで気づいたかによって変わります。例えば、夜の薬を飲み忘れたことを翌朝気づいたとしましょう。その日の夜まで飲まないと間隔が空いてしまうので朝に飲むようにします。そして、次の日は昼に、その次の日は夜に飲む――というように、少しずつずらして元のタイミングに戻す方法もあります。
1日3回の薬でしたら、気づいたらすぐ飲むのが鉄則です。昼の薬を飲み忘れる方も多くいます。その場合は、夕方に気づいたらすぐに飲んで、それから4時間、できれば6時間ぐらい空けて夜の薬を飲みましょう。ただし、薬の内容と服用回数、間隔により対応の仕方が変わってくるので、いつ飲んだらよいか迷った場合は医師や薬剤師に相談してください。
また、複数の薬を服用する場合、飲み忘れを防ぐために一包化という方法があります。朝の薬、昼の薬、夜の薬をひとまとめにします。ただし、口の中で溶けるような錠剤などの一部の薬は分包すると湿気を帯びやすくなることがあるので、薬剤師とよく相談してください。
自分で管理するのが難しいという方は家族や薬剤師に協力してもらいましょう。
単なる飲み忘れではなく、飲みづらくて無意識に避けている場合は注意が必要です。必ず医師に相談しましょう。医師は「きちんと服用している前提」で治療を進めています。飲まないまま薬がたまると、治療がうまくいかず悪循環になります。別の薬に変えてもらうこともできるので、自己判断せず、早めに医師や薬剤師に相談することが大切です。
カフェインと構造が似ているため、テオフィリン薬を使っている人が コーヒーや紅茶、市販の風邪薬などカフェインが入っているものを 多量に摂取すると、 頭痛などの副作用 が出るリスクがあります。
抗アレルギー薬として処方される多くの薬は市販の風邪薬や鼻炎薬と成分がかぶっているので、効果が強まり 眠気を誘発する可能性があります 。運転される方は特に注意しましょう。
LAMAを含む吸入薬が目に入ると、緑内障の患者は眼圧が急激に上昇し、緑内障発作を起こすおそれがあります。吸入する際は注意をしましょう。
アスピリンによって誘発される「アスピリンぜん息」があります。アスピリンぜん息と診断された場合は、市販の非ステロイド性解熱鎮痛薬は使わず、 アセトアミノフェン配合 の解熱剤を使用してください。
高血圧や狭心症の治療に使われる薬ですが、まれに気管支を収縮する作用を示すことがあるので、 ぜん息やCOPD の患者には原則禁忌です。
薬の使用期限はメーカーが品質管理の試験をして決めます。
内服薬の期限はPTPシートには書いておらず、外箱にしか記載がないため、気になる場合は調剤されたタイミングで確認をしてください。
吸入薬、点鼻薬については、期限が書いてあるものもあります。ただし、あくまで「未開封」の状態でということは知っておいてください。カートリッジ型の薬も差し込んでしまうと、期限が短くなってしまいます。期限が切れた薬については必ず処分してください。
万一の誤用などを考慮して、シートから出してつぶして捨てるか、溶かして流します。シートに入った薬をそのままの状態で家庭ゴミに出すのは避けましょう。
多くの場合は可燃ゴミで処分できますが、シートはプラスチックとアルミでできているので、自治体の分別方法に従ってください。
エアゾール缶の場合、中の薬剤を必ず使い切ってください。ケースはプラスチックゴミですので、それぞれ自治体の分別方法に従って廃棄します。
軟膏やクリームはキャップがプラスチックで本体が金属になっているものが多いので必ず分別して処分してください。
医療機関に戻すのが原則です。医療機関が医療廃棄物として処分します。使い終わったらキャップをして専用回収箱に入れてください。一般家庭ゴミとして捨てるのは絶対にやめてください。
お薬手帳は、これまでに処方された薬の記録や、アレルギー、副作用の履歴などを一元的に管理する「薬の履歴書」です。どういう薬で何が起きたかを残しておくと、過去に副作用を起こした薬を出されるリスクが少なくなります。特に災害時では、普段飲んでいる薬が必ず手に入るとは限りません。常時または常用している薬と同じ効果を示す薬を確保するためにもお薬手帳が必要です。

1985年京都薬科大学卒業。製薬会社勤務を経て、95年にすずらん調剤薬局(三重県亀山市)を開局。日本小児臨床アレルギー学会理事。