食物経口負荷試験について

経口負荷試験とは?何のために行うの?

経口負荷試験とは、アレルギー症状を起こす、または起こすかもしれない食べ物を、医療機関で、医師の管理のもとに「食べてみる」検査です。
食物アレルギーがあるかどうかわからないときに、本当にアレルギーなのか?を「診断」することが第一の目的とされていますが、すでに食物アレルギーがあるとわかっていても、どれくらいの量だったら安全に食べることができるのかを決めるためにも行われます。最近は、後者の安全量を決めるための負荷試験が多くなっています。食物アレルギー管理の基本は「必要最小限の除去」です。食物アレルギーがあるときに、その食べ物を全く食べない(=完全除去する)のではなく、少ない量だったら安全に食べられることが多いので、どれだけなら食べられるのか?を正しく知ることが大切です。

国立病院機構三重病院 臨床研究部アレルギー疾患治療開発研究室長 長尾みづほ国立病院機構三重病院
臨床研究部アレルギー疾患治療開発研究室長
長尾みづほ

試験はどんな内容?

医療機関でアレルゲンと考えられる食べ物を少しずつ食べて、症状が出ないかどうかを確認します。負荷試験で食べる量(=目標量)を予想される食物アレルギーの重症度によって、医師が決めて、それを30分間程度の間隔で、何回かに分けて食べます。例えば3回に分ける場合は、1回目は目標量の1/8、30分待って何も症状がでなかったら、2回目は目標量の3/8、そして、何もなかったら30分後に目標量の1/2という具合です。患者さんによって、1回で食べる場合も、2~3回に分ける場合もあります。

しかし、今まで食べてこなかったものをいきなり食べましょう、といっても心配になったり、味が気に入らなかったり、ということもあります。ですから、例えば牛乳の負荷試験をするときは牛乳そのものを飲むときもありますが、味が苦手なときや「白い飲物」に抵抗があるときなどはチョコレートシロップを混ぜたり、アレルゲン除去対応のカレールーなどを混ぜたりして食べやすい状態にするときもあります。
食物依存性運動誘発アナフィラキシーといって、普段食べている食物なのに、運動や何らかの条件が重なることでアレルギー症状が起きてしまう方がいます。これが疑われる場合は、原因ではないかと思われる食物を食べて、その後運動する、というちょっと特殊な経口負荷試験もあります。

どんな人が試験を行うの?

最初に負荷試験の2つの目的を説明しましたが、具体的には以下のような方に行います。

  • ・赤ちゃんのときに湿疹があって、初めて離乳食で卵を与えてみよう、と思うけれどもかかりつけの先生から経口負荷試験で確認してからにしましょう、と言われたとき。
  • ・かかりつけの先生から、食べてみたら?と進められたけれども自宅で初めて食べるのが心配なとき。
  • ・食べて蕁麻疹などのアレルギー症状が出てしまったことがあるけれど、少ない量なら食べられるかも、と確認したいとき。
  • ・食べて蕁麻疹などのアレルギー症状が出てしまったことがあるけれど、いろんな食べ物を食べたので何が原因だったのかわからないとき。
  • ・以前、食べてアレルギー症状が出てしまったことがあって全く食べていなかったけれどもそろそろ治ってきていないか、少しくらい食べても大丈夫かしらというとき。
  • ・今、少しだけ食べているけれども、もう少したくさん食べても大丈夫かどうか確認したいとき。

このほかにもいろんな場合があります。経口負荷試験を勧められたけれども、保護者やお子さん自身がためらってしまうこともしばしばあります。そういったときは、不安な気持ちを担当の先生にしっかり相談しましょう。経口負荷試験を行うときに、「この量だったら症状が出るかもしれないけれど、ギリギリ食べられるかも」というレベルで食べる量を設定するときもありますし、「この量だったら安全である可能性が高いだろう」というときもあります。お子さんが「それならやってみよう」と思えるような負荷試験のスタイルがいいですね。

試験を行う際の注意点・危険性

経口負荷試験を行うときは、体調が万全であることが大切です。これは風邪気味だったり、胃腸の調子が悪いといったことだけではありません。食物アレルギーのお子さんはしばしば他のアレルギー疾患、つまりアトピー性皮膚炎や気管支ぜん息などを合併していることがよくあります。アトピー性皮膚炎の状態が今ひとつだと、経口負荷試験のときに食べて皮膚が痒くなったのか、アトピー性皮膚炎のために痒く感じているのか区別がつきにくくなります。気管支ぜん息の調子が悪いと、経口負荷試験でアレルギー症状が出てしまったときに思いのほか強い呼吸器症状に至ってしまうリスクがあります。アトピー性皮膚炎や気管支ぜん息は、いつもしっかりコントロールされていることが大切ですが、もしも今ひとつであれば検査の予定を延期して調子を整えてから臨みましょう。

負荷試験の後はどうするの?

経口負荷試験の結果が陰性であれば、食べて大丈夫な量がわかりますのでその範囲で食べていきます。陽性であっても、たくさん食べた後で軽い症状が出てしまったようなときは、この程度だったら大丈夫かな、という量を指示されて食べていくときもあります。いずれにしても、指示された量を自宅で何回か食べてみて本当に大丈夫かを確認します。食べて大丈夫な量を少しずつ増やしてよいかどうかは、状況によって異なりますので担当の先生に相談してください。
食物経口負荷試験が行われている施設は最近増えてきています。受けたいけれどどこを受診したらいいかわからない、といったときには、食物アレルギー研究会のホームページに実施施設一覧があります(https://www.foodallergy.jp/ofc/)ので参考にしてください。