石綿健康被害救済制度における平成18~令和4年度被認定者に関するばく露状況調査報告書について(お知らせ)
独立行政法人環境再生保全機構では石綿健康被害救済制度(以下「救済制度」という。)で救済給付を申請・請求をされる方に、任意でアンケート票の提出をお願いしている。
救済制度での被認定者から他制度(労働者災害補償制度など)での被認定者を除いて調査対象者を抽出し、これらの方から提出されたアンケート回答内容を集計し、結果を報告書として取りまとめた。
石綿による健康被害の救済に関する法律(※)施行後に認定された調査対象者及びアンケート回答状況は以下のとおりである。
- 令和4年度の調査対象者は926人で、疾病別内訳は、中皮腫690人、肺がん209人、石綿肺1人、びまん性胸膜肥厚26人であった。
- 平成18~令和4年度累計での調査対象者は11,163人で、疾病別内訳は、中皮腫9,026人、肺がん1,897人、石綿肺39人、びまん性胸膜肥厚201人であった。
- 中皮腫の調査対象者は、制度発足年度(平成18年度)を除く以後16年間の前半8年間(平成19年度~平成26年度)と後半8年間(平成27年度~令和4年度)で見ると、3,456人から5,082人に増加(47.0%増)した。なかでも男の胸膜中皮腫は、2,204人から3,392人に増加(53.9%増)した。
- アンケートの回答を得られたのは、令和4年度では760人(回収率82.1%)、平成18~令和4年度累計では9,267人(回収率83.0%)であった。
平成18~令和4年度累計のアンケートの結果は以下のとおりである。
- 石綿ばく露状況の内訳を見ると多い順に、職業ばく露5,885人(63.5%)、環境ばく露・不明2,983人(32.2%)、家庭内ばく露237人(2.6%)、施設立入り等ばく露162人(1.7%)であった。
- 職業分類別に見ると最も多かったのは、製造・制作作業者4,549人(29.5%)、次いで採掘・建設・労務作業者3,687人(23.9%)であった。
- 産業分類別に見ると最も多かったのは、製造業5,460人、次いで建設業3,865人であった。また就労人口当たりの被認定者割合が高い「建設業」に従事歴のある方のうち、特定の職種(はつり工・解体工、左官など)について集計を行ったところ、大工616人、電気工294人、配管工251人の順に多かった。
- 最長居住歴で見た住所別に集計すると、最も多かったのは、都道府県別では兵庫県989人、次いで大阪府952人、東京都905人で、市町村別では尼崎市562人、次いで大阪市402人、横浜市193人であった。
- 尼崎市に最長居住歴がある方で石綿ばく露状況が環境ばく露・不明に分類される方を行政6地区別に集計すると、小田地区248人、中央地区49人、園田地区32人などであった。
(※)日本国内で石綿を吸入することにより指定疾病にかかり健康被害を受けられた方及びそのご遺族の方で、労災補償等の対象とならない方に対し迅速な救済を図ることを目的として、医療費等の救済給付を支給する「石綿による健康被害の救済に関する法律」(以下「救済法」という。中皮腫・肺がん:平成18年3月27日施行、石綿肺・びまん性胸膜肥厚:平成22年7月1日施行)。