期待の生物学的製剤 
相次いで登場
重症ぜん息でも
健康な人と変わらない生活を

重症ぜん息の患者さんに、新たな治療法として生物学的製剤が相次いで登場しています。ぜん息症状を引き起こす原因物質を、ぜん息のタイプごとに狙い撃ちにするため、劇的な回復が期待されます。その一方、効果のある人は限られ、使用前の検査による見極めが肝心。新治療法なのでいつまで続けるべきか不明な点があったり、薬価が高いというデメリットもあります。課題や注意点も含め、帝京大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー学 教授の長瀬洋之先生と、国立病院機構三重病院臨床研究部アレルギー疾患治療開発研究室(小児科)室長の長尾みづほ先生にお話をうかがいました。

ぜん息治療の変遷

吸入ステロイド薬 患者減少に貢献

ぜん息は空気の通り道の気道が、炎症を起こして狭くなる病気です。1990年代以降、この炎症を抑える「吸入ステロイド薬」が治療の中心になり、入院や死亡する患者さんは徐々に減りました。しかし、これ以前、ぜん息は原因が解明されておらず、発作が起きると呼吸ができなくなる恐ろしい病気でした。当時は発作止めの薬「β2刺激薬」を発作が起きた時だけに使うことが主流。症状は抑えることができても、本当の原因である炎症をとることはできなかったのです。そのため、小児では発作により学校へ通えない児童のためにぜん息病棟があり、乾布摩擦やぜん息体操などという鍛錬療法や運動療法も行われていました。

ぜん息死亡者数の推移

ぜん息死亡者数の推移
  • 出典:厚生労働省政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当)「平成29年 患者調査(傷病分類編)」(P42 傷病別年次推移表 喘息項目 総患者数※)データを基に作成
  • ※総患者数…調査日現在において、継続的に医療を受けている者(調査日には医療施設を受療していない者も含む。)の数を次の算式により推計したもの総患者数 = 入院患者数 + 初診外来患者数+( 再来外来患者数 × 平均診療間隔 × 調整係数(6/ 7))

長期管理薬と発作治療薬 二本柱で8割が安定

2000年頃からは、気道の炎症や収縮を抑える飲み薬「ロイコトリエン受容体拮抗薬」や「長時間作用性β2刺激薬」が登場し、さらにぜん息をコントロールしやすくなりました。2007年には、吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬を合わせた配合剤もできました。2010年代には一通りの薬がそろい、患者さん自身が医師と相談しながら、症状をコントロールできるようになったのです。
現在、治療に使われる薬は、症状がなくても毎日使用し、ぜん息の原因である気道の炎症を抑える「長期管理薬」と、発作が起きた時に気管支を速やかに広げ呼吸を楽にする「発作治療薬」の2種に大きく分けられます。これらの薬を適切に使えば、ぜん息患者の8割は、ぜん息をコントロールできると言われています。

ぜん息治療の変遷

ぜん息治療の変遷

長期管理薬と発作治療薬

長期管理薬と発作治療薬

1割が重症ぜん息 生物学的製剤の適応か

しかし、残りの2割はコントロールが不十分です。このなかには、薬を正しく使えていない患者さんや、自己管理に問題のある患者さんも含まれます。例えば、吸入ステロイドを正しい方法で吸入していなかったり、毎日使う長期管理薬を症状がないからといって中断していたりするケースがあります。また、ぜん息の症状を悪化させるダニやカビなどのアレルゲンを避ける工夫をしていなかったり、合併症の管理が不十分であったりするケースもあります。
これらの改善でコントロールできる患者さんもいますが、薬を正しく使い、自己管理もしっかり行っているのにコントロールできない患者さんも1割ほどいます。これらの患者さんが生物学的製剤の適応になると考えられています。

生物学的製剤って
どんな薬?

アレルギーの原因物質を狙い撃ち

重症ぜん息患者さんの治療法として近年、注目を集めているのが生物学的製剤です。高用量のステロイド薬や複数の薬剤を使うなど高いレベルの治療を施しても、症状が安定しない患者さんが対象の薬となります。
一般的な医薬品は化学的に合成された物質をもとにつくられますが、生物学的製剤は最先端のバイオテクノロジー技術によって、生物がつくるタンパク質などの物質を利用してつくられます。これまでに、リウマチや皮膚疾患、一部のがんの治療薬などに使われるようになっています。
ぜん息治療では2009年3月に初めて、オマリズマブ(商品名:ゾレア®)が成人の重症ぜん息の患者さんの治療に使えるようになり、現在では成人で4種、小児では3種(年齢により異なる)が認められています。
生物学的製剤はアレルギー反応の進行を抑えて、ぜん息の症状を全般的に抑える効果があります。アレルギーを引き起こす原因物質を分子レベルで狙い撃ちにする、つまり治療の標的となる分子が明確に決まっているため、分子標的薬とも呼ばれます。

ぜん息のタイプ別の薬が続々登場

ぜん息は、「アレルギー性」「好酸球性」「好中球性」などいくつかのタイプ(フェノタイプ※1=表現型と呼ばれます)に分類されています。これらのタイプは、ぜん息の炎症が起きるメカニズムの違いによるもので、数多くの物質が複雑に関与しています。生物学的製剤は、多くの物質のうち、ある特定の物質の働きだけを阻害して炎症を抑えます。このように作用する薬は抗体医薬と呼ばれ、「〇〇マブ」という名がついているのが特徴といえます。
オマリズマブに続き、2016年6月にメポリズマブ(商品名:ヌーカラ®)、2018年4月にベンラリズマブ(商品名:ファセンラ®)、2019年3月にデュピルマブ(商品名:デュピクセント®)が登場し、現在は4種の薬が使えるようになりました。ぜん息の症状全般を抑える効果は同じですが、どのように抑えるかの仕組みをみると、それぞれ作用する物質が違っています。

薬の特徴

オマリズマブ (商品名:ゾレア®)

オマリズマブ

作用機序:抗IgE抗体
薬価:75mg 1瓶:23,556円 
150mg 1瓶:46,422円
対象年齢:6歳以上
発売:2009年3月

【IgE抗体の働きを阻害】
オマリズマブはIgE抗体という免疫に関係する物質の働きを抑えるため、抗IgE抗体と呼ばれ、アレルギー性のぜん息に効果を発揮します。体内に花粉やダニなどのアレルゲンが入ってくると、IgE抗体が増えます。このIgE抗体が皮膚や粘膜など全身の組織にあるマスト細胞※2とくっつき、アレルゲンと結合すると、ヒスタミンなどのアレルギーを引き起こす炎症物質がマスト細胞※2から放出されるのです。オマリズマブはIgE抗体とマスト細胞※2をくっつきにくくするように働くため、一連の反応が進むのを防ぎます。

用法・用量

1回75〜600mgを2週間または4週間ごとに皮下注射する

メポリズマブ (商品名:ヌーカラ®)

メポリズマブ

作用機序:抗IL-5抗体
薬価:100mg1瓶:178,937円
対象年齢:12歳以上
発売:2016年6月

【IL-5の働きを抑え好酸球を減らす】
メポリズマブは、細胞から分泌され周囲の細胞に働きかけるサイトカイン※3という物質の1種、IL-5(インターロイキン5)の働きを抑え、抗IL-5抗体と呼ばれます。気道の炎症を起こしぜん息を重症化させる原因のひとつに、白血球の1種の好酸球という細胞があります。好酸球はIL-5により活性化されるので、メポリズマブでIL-5の働きを抑えると、好酸球を減らすことにつながり、好酸球性のぜん息に効果があります。

用法・用量

1回100mgを4週間ごとに皮下注射する

ベンラリズマブ (商品名:ファセンラ®)

ベンラリズマブ

作用機序:抗IL-5受容体α抗体
薬価:30mg1筒:358,045円
対象年齢:成人
発売:2018年4月

【NK細胞を好酸球攻撃に仕向ける】
ベンラリズマブはIL-5受容体αの働きを抑えるため、抗IL-5受容体α抗体と呼ばれます。好酸球性のぜん息に効果を示しますが、その仕組みには、メポリズマブと違う点があります。好酸球の表面には、IL-5を受け入れる部分(受容体)があり、ここにIL-5が結合すると好酸球が活性化します。ベンラリズマブはIL-5受容体と結合して、IL-5と好酸球が結合するのを邪魔するため、好酸球の活性化を防ぎます。さらに、結合したベンラリズマブは、好酸球を攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞を呼び寄せ、好酸球を除去する役割も持ちます。

用法・用量

1回30mgを初回、4週後、8週後に皮下注射し、以降8週間隔で皮下注射する

デュピルマブ (商品名:デュピクセント®)

デュピルマブ

作用機序:抗IL-4受容体α抗体
薬価:300mg1筒:83,152円
対象年齢:12歳以上
発売:2019年3月※適用拡大の承認

【気道炎症を広範囲に抑える】
デュピルマブは抗IL-4受容体α抗体と呼ばれ、これに結合するIL-4とIL-13の働きを抑えます。IL-4やIL-13は直接、気道に作用して炎症を起こすほか、アレルギーに関係する細胞を刺激して、さらに多くの炎症物質を放出させてしまいます。デュピルマブは、IL-4やIL-13と細胞が結合するのを防ぎます。これらの細胞は活性化されないので、気道の炎症を広範囲に抑えることにつながります。

用法・用量

初回に600mgを皮下投与し、その後は1回300mgを2週間隔で皮下投与する

  • ※薬価は2020年2月時点の価格です

どんな人が使えるの?

呼気NOや
好酸球数が
多い人は
  • デュピルマブ

デュピルマブは12歳以上の重症患者さんで、呼気一酸化窒素(NO)検査※4で数値の高い人や好酸球数の多い人が適応で、目安はNO25ppb以上となります。この数値が高いと気道に炎症が起きていることを示し、数値が高いほど効果がでる可能性が高いとされています。また、血液検査で、血清中の総IgE濃度が高い人にも効果があります。

好酸球の
多い人は
  • メポリズマブ
  • ベンラリズマブ

メポリズマブは12歳以上の重症ぜん息、ベンラリズマブは成人の重症ぜん息で、ともに血液中の好酸球が多い「好酸球性ぜん息」の患者さんが適応です。血液検査で血中好酸球数が150/μl以上が適応の目安。この数値が高いほど効果がでる可能性が高いとされています。

アレルギーの
ある人は
  • オマリズマブ

オマリズマブは6歳以上の重症ぜん息患者さんが適応です。ダニやカビなどにアレルギーがある「アレルギー性ぜん息」(通年性吸入抗原が陽性)に有効とされ、重症ぜん息患者さんの6割に効果があったとする報告もあります。血液検査で血清中総IgE濃度が30~1500IU/mlが適応の目安になります。

飲み薬ではなく皮下注射 投与間隔は異なる

生物学的製剤の対象は重症ぜん息の患者さんです。ただ、薬の効くメカニズムが違うので、薬ごとに対象となる患者さんも異なります。対象でない患者さんが使っても効果が得られにくいので、事前の検査で適応があるのかないのかを、きちんと確認することが必要です。また、年齢による使用制限もあります。
これまでのぜん息治療薬は長期管理薬も発作治療薬も飲み薬か吸入薬でしたが、生物学的製剤は注射薬です。投与間隔は2~8週間ごとで薬により異なります。注射する場所は、上腕部、腹部、太ももなどで、主治医や看護師と相談して決めることが多いです。皮下注射なので筋肉注射ほどの痛みはないようです。
どの薬を使うかは、ぜん息のタイプを見極めたうえで決めることが基本です。ただ、全ての薬に適応がある患者さんも1/4くらいいますので、どう使い分けるかが課題として残っています。デュピルマブは医師の判断により患者さんが自分で打つ「自己注射」も可能ですが、その他の薬は通院しての注射となり、投与間隔も違います。患者さんにとって便利なことも治療を続けていくうえで大切です。どの薬にするかは、合併症、安全性、価格なども含め、患者さんと医師が相談して、総合的に判断することになります。

皮下注射の場所

皮下注射の場所

ぜん息発作回数減少、ステロイド使用量低減

効果はいずれの薬も臨床試験では、ぜん息の発作回数が減る、ステロイドの量を減らせる、気道の狭さをみる1秒量を増やすなどが報告されています。ただ、効果には個人差もあり、効果を実感するのに時間がかかることもあるようです。
一方、実際の治療で使用した患者さんから「大変よい」「仕事を休まないですむようになった」「ステロイドの副作用のムーンフェイスが減った」などの声も聞かれています。

使用の注意点は何?

これまでの薬も継続

いずれの生物学的製剤も、これまで服用していた薬を継続して使うことが必要です。症状が改善したからといって、自己判断でやめてはいけません。長期管理薬という位置付けになります。注射を継続するかについての情報はまだ少ないです。10年近い使用実績のあるオマリズマブは、使用をやめると悪くなるケースもある一方、やめても効果が持続するというケースもあります。

高い薬価 高額療養費制度の対象 病院の窓口で相談を

生物学的製剤はいずれも、1回の注射に伴う薬価が数万円から数十万円と極めて高額です。患者さんの負担を減らす制度には、確定申告を行うと所得税の控除が受けられる医療費控除、医療機関や薬局の窓口で1カ月に支払った額が一定額を超えた場合、超えた額を加入している医療保険が支払う高額療養費制度、あるいは住んでいる自治体による補助などがあります。これらの制度を活用すると、自己負担額を減らすことができます。年齢や収入によって細かく分けられているので、詳しくは医療機関の窓口、加入している健康保険の医療保険者などで相談することをお勧めします。

高額療養費制度の負担上限額

高額療養費制度の負担上限額

副作用に注射部位反応や頭痛

4種の生物学的製剤は体の免疫系に作用するため、当初は感染症にかかりやすくなることなどが心配されていました。しかし、これまでに重い副作用の報告はありません。臨床試験で最も多くみられた副作用は、注射を打った部位が痛む、赤くなる、腫れる、かゆくなるなどの注射部位反応と頭痛です。薬によるアレルギー反応は少ないとされていますが、患者さん側の注意点としては、初めての注射から3回目くらいまでは、注射後しばらくの間は病院にいて、様子をみた方がよいでしょう。頭痛、発熱などいつもと違う体調の変化があれば、必ず担当医に相談してください。
いずれの薬も長期間使用を続ける薬ですが、使われ始めてからの期間が短いため、長期的な安全性は詳しくはわかっていません。

子どもの場合はどうなる?

6歳~11歳ではオマリズマブだけ

小児に使える生物学的製剤は成人に比べ制限されています。6歳以上ではオマリズマブ1種。12歳以上でメポリズマブ、デュピルマブが加わり3種となります。6歳未満の乳幼児に使える生物学的製剤はありません。該当する年齢以外の小児を対象にした治験(医薬品の承認を得るために販売前に実施される臨床試験)が行われておらず、安全性や有効性についてデータがないためです。海外では対象年齢を下げた臨床試験が始まっています。フランスではオマリズマブが効く子どもが4割、少し効くが5割、全く効かないが1割だったという臨床研究があり、好酸球が高いタイプのぜん息の子どもも存在します。

投与方法は成人と同じ注射 これまでの薬も継続

対象は高用量のステロイド薬や複数の薬剤を使うなど重症患者さんの治療をしっかり行っても、症状が安定しない子どもで、この点は成人と変わりありません。ただ、成人の場合、ぜん息のタイプにより使う薬剤を選択することができますが、子どもでは使える生物学的製剤が限られているので、どの薬を使うかは症状よりも年齢が優先されるのが現状といえます。
投与方法も成人と同じ注射で、これまでの薬は継続するという点は変わりありません。オマリズマブは体重や血清中総IgE濃度によって、1回の投与量や投与間隔が異なります。メポリズマブは成人と同じ1回100㎎を4週間ごとに投与、デュピルマブも成人と同じ初回に600㎎、その後は2週間ごとに1回300㎎を投与します。
副作用については、注射した場所が痛いという子どもはいますが、成人と同じで大きな副作用は報告されていません。また、成人と同様に使われ始めてからの期間が短いため、長期的な安全性についての報告はまだ十分ではありません。
薬価は成人、小児で変わりません。重症ぜん息で生物学的製剤を使う場合、小児慢性特定疾患の対象になるため、医療費助成が18歳まで受けられます(継続の場合は20歳まで)。

用語解説

※1:フェノタイプ

医学・生物学の専門用語で、観察できる特徴のことを指し、「表現型」とも呼ばれます。ぜん息の場合、「アレルギー性」や「非アレルギー性」、「好酸球性」や「好中球性」など、原因や症状などによって、いくつかのタイプに分類されています。ぜん息を分類することで、患者さん一人一人に最も適切な層別化医療を実施したり、将来の予防につながると考えられています。

※2:マスト細胞

気管支や鼻粘膜、皮膚など外界と接する組織にあり、外敵から生体を守る免疫細胞の一つです。一方、免疫反応が強く働き過ぎて体に障害がでるアレルギー反応にもかかわっています。アレルゲンが侵入すると作られるIgE抗体は、血液中を流れてマスト細胞にくっつきます。再びアレルゲンが侵入すると、マスト細胞とくっついたIgE抗体が反応し、マスト細胞はヒスタミンなどのアレルギーを引き起こす物質を放出します。

※3:サイトカイン

細胞から分泌される低分子のたんぱく質で、特定の細胞に働きかけ、免疫、抗腫瘍、抗ウイルスなどの作用を持っています。白血球が分泌し免疫系の調節にかかわるインターロイキンは30種以上、ウイルスや細胞の増殖を抑制するインターフェロン類があり、今でも新たな発見が続いています。

※4:呼気一酸化窒素検査

吐いた息の中に含まれる一酸化窒素(NO)の量を測り、気道の炎症の状態を数値で示す検査です。検査用の機械に直接、息を吹き込んで測定します。気道に好酸球性炎症があると上昇するため、ぜん息のタイプを知る手がかりとなり、診断や治療につながります。

成人ぜん息についてうかがった先生

長瀬 洋之 先生 顔写真

帝京大学 医学部内科科学講座
呼吸器・アレルギー学 教授
長瀬 洋之 先生

読者へのメッセージ

それぞれの薬は、ぜん息のタイプによって効く人、効かない人がいます。事前の検査で確認してください。適切に使用すれば、これまでの薬では達成できなかった改善を数多くの患者さんで経験しました。内服のステロイドを減らしたり、離脱できるなど生活が一変します。重症ぜん息でも、生物学的製剤が当てはまる場合、大きく改善する可能性がある時代になりました。ぜひ担当医にご相談ください。

プロフィール

1994年東京大学医学部医学科卒業。96年東京大学物療内科勤務、2002年に医学博士取得。03年帝京大学医学部内科学講座 呼吸器・アレルギー学、16年6月から現職。日本アレルギー学会 気管支喘息ガイドライン専門部会作成委員。

小児ぜん息についてうかがった先生

長尾 みづほ 先生 顔写真

国立病院機構三重病院
臨床研究部アレルギー疾患
治療開発研究室(小児科) 室長
長尾 みづほ 先生

読者へのメッセージ

正確なデータはありませんが、国内で生物学的製剤を使った小児は数百人程度とみられます。私は劇的に回復した例を経験しました。皆と同じように走ったり、運動ができるようになる可能性があります。きちんと治療すれば、将来、自分のなりたい職業につけるし、ぜん息のために、やりたいことをあきらめなくてすむのです。生物学的製剤はぜん息の子どもの将来を変える力をもっていると思います。まず、担当医に相談してください。

プロフィール

1997年岐阜大学医学部医学科卒業。同年岐阜大学医学部附属病院小児科研修医、2004年国立病院機構三重病院小児科。13年3月から現職。16年5月から三重大学大学院医学系研究科連携准教授を併任。日本小児科学会認定小児科指導医、日本アレルギー学会専門医・指導医・代議員。