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咳とたんの「トリセツ」 ~「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025」を踏まえて~

ぜん息やCOPDの患者さんにとって、辛くて不快な咳とたん。身近な症状ですが、咳やたんが出る仕組みや、どのような役割を果たしているのかについて、知らない人が意外に多いのではないでしょうか。日本呼吸器学会は2025年4月に、6年ぶりにガイドラインを改訂し、「咳嗽がいそう喀痰かくたんの診療ガイドライン第2版2025」を作成しました。この内容も踏まえて、咳とたんとの正しい付き合い方を「トリセツ(取扱説明書)」としてやさしくまとめました。近畿大学医学部呼吸器・アレルギー内科学教室主任教授の松本久子先生と、横浜市立大学大学院医学研究科呼吸器病学主任教授の金子猛先生にお話をうかがいました。

咳とたんの基礎知識

咳は異物を排除する防御反応

ヒトは1日に約2万リットルの空気を吸っています。吸った息に混じったほこりや細菌、ウイルスなどの異物が気道を通って体内に侵入し、肺の奥まで入ると病気になってしまうおそれがあります。そこで、異物を途中の気道で取り除いて、体を守ろうとする生体防御反応が咳です。異物を絡めとった、たんを体外に排出する役割もあります。

咳が出るまでには3つの段階があります。まずは短く息を吸い、次にその息をためるために、のど仏の奥にあり気管の入り口に当たる声帯が閉鎖されます。これにより肺の内圧が高まり、異物を一気に排出できるような強く吐き出す息になります。これが咳で専門的には咳嗽と呼ばれます。

咳が出るメカニズムは現在、3つあると考えられています。

1つめは、反射的咳嗽です。食べ物や飲み物を誤嚥して気道に入った場合、外に出そうとして起こります。気道のセンサーが異物を感知して、脳幹にある咳中枢に情報を伝えます。咳中枢は異物を排出するよう指令を出し咳が出ます。これは脳幹の反射として引き起こされ意識がなくても出る咳です。

2つめは、気道からの情報がなくても出る咳です。咳は出そうと思えば出せますし、ある程度、我慢できます。これには大脳などが関与しており随意的咳嗽と呼ばれ、心因性の咳はこの仕組みです。

3つめは、気道への何らかの刺激によって、のどにイガイガ感を覚え、その後「咳をしたい」「咳が出そう」な感覚が生まれ、出る咳です。病気に関係する咳は、この仕組みとされています。不快なイガイガ感を和らげるため、自発的に咳を出すこともあります。

イラスト1 咳とたんのメカニズム

持続期間によって3つに分類

咳にはたんの有無による分類と、持続期間による分類などがあります。たんを伴わないか少量の咳を乾性かんせい咳嗽といい、咳ぜん息などによる咳です。たんが出る咳は湿性しっせい咳嗽と呼ばれ、呼吸器感染症やぜん息、COPDなどで多いです。

咳は続く期間によって、3週間未満を急性咳嗽、3週間以上8週間未満を遷延せんえん性咳嗽、8週間以上の慢性咳嗽に分類されます。急性咳嗽は風邪などの感染症で多く見られます。咳の続く期間が長くなるにつれ、感染症が原因の割合は減っていく傾向が見られます。そのほかにも、鼻の奥にある副鼻腔と気管支に炎症が起きて湿った咳が出る副鼻腔気管支症候群や、逆流した胃酸などが食道下部にある咳受容体を刺激して乾いた咳が出る胃食道逆流症などがあります。

主な病気 特徴
急性 感冒(風邪) 終日続く咳 たん 1週間程度で改善することが多い 咳に先行して鼻汁・くしゃみ・鼻づまり 発熱
遷延性 マイコプラズマ肺炎 持続的な乾いた咳、発熱、のどの痛み、鼻症状は少ない
百日咳(成人) 持続的な咳 小児ほどの特徴的な症状はない
百日咳(小児) 発作性の咳込み 吸気性笛声 咳込み後の嘔吐 無呼吸百日咳(小児) チアノーゼ
慢性 咳ぜん息 持続的な乾いた咳 夜間~早朝や季節の変わり目咳ぜん息 に悪化 ぜん鳴なし
ぜん息 咳 たん ぜん鳴・呼吸困難あり 夜間~早朝や季節のぜん息 変わり目に悪化
COPD たんが多い 運動すると息切れする
副鼻腔気管支症候群 慢性副鼻腔炎と診断されている、あるいはかかったことがある たんが多い
胃食道逆流症 胸焼けがする 会話・食後・起床直後などに咳が出る

出典:「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025」などをもとに作成

たんはもともと下気道を保護する分泌物

たんは下気道(のどの奥にある声帯から肺までの空気の通り道)から気道の外に排出された分泌物の総称で、専門的には喀痰と呼ばれます。口から飲み込んだ食べ物は、最終的に便として肛門から排泄されます。一方、吸った空気は気道から肺に取り込まれますが肺に出口はないので、気道を通って口や鼻から体外に吐き出さなければなりません。呼吸の際に気道や肺に侵入した異物や細菌などを絡めとって体外に出す役割が、たんです。

たんのもととなる分泌物は1日に約100ミリリットルつくられ、下気道を覆って保護しています。2層に分かれていて、空気に接する上側はムチンという糖タンパク質が主成分の粘り気のある粘液で、下側はサラサラしています。この粘液層は気道表面にある線毛によって、つねに肺からのどの方向に移動し、気道に侵入した異物を絡めとって外部に排出します。その移動速度は1分間に約1センチといわれています。気道分泌物は、呼吸に伴う蒸発や再吸収によって大きく減少し、声門まで達する量は1日約10ミリリットルです。通常は気づかないうちに飲み込んでしまっています。

しかし、感染症や呼吸器の病気になると、下気道でつくられる分泌物が増えて、線毛運動により外部に排出できる量を超えた分が気道内にたまってしまいます。この過剰な分泌物が気道にある咳センサーを刺激して、咳によって外部に排出され、たんになるのです。

外観で3つに分類

たんは外観から粘液性、漿しょうえき性、のう性の3つに大きく分けられます。たんの原因になる病気は多く、同じ病気であっても、たんの見かけは患者によって違うこともあります。ただし、ある程度は見かけで病態を予測することが可能です。

一般的に粘液性のたんは、気管支炎、COPD、ぜん息で多くみられます。サラサラとした漿液性のたんは、肺水腫などでみられます。粘液性と漿液性のたんは、透明や白色が多いです。膿性のたんは、細菌による気道感染が原因であることが多く、COPDやぜん息の増悪でも見られます。

ぜん息、COPDの咳・たんとどう付き合う?

気道の炎症と過敏が原因

咳が8週間以上続く慢性咳嗽の原因として多いのが、ぜん息、咳ぜん息、COPDです。それぞれの咳にはどのような特徴があるのでしょうか。

ぜん息では気道に慢性的な炎症が起き、過敏になっているため、わずかな刺激でも反応して咳やたんが出ます。夜間や早朝に咳やたんが増えることや、息苦しくなることが特徴です。呼吸のたびに「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がすることがあり、ぜん鳴と呼ばれます。炎症によって気管支周囲の筋肉(平滑筋)の収縮や気道のむくみ、分泌物の増加が生じることで気道が狭くなり、呼吸の際に狭くなった気道を空気が通過するため雑音が出るのです。ぜん息では息を吐くときに多いです。

咳ぜん息は咳を唯一の症状とするぜん息の一つとされており、たんがほとんど出ない乾いた咳が続きます。気道が過敏になっていることや、夜間や早朝に咳が悪化することは典型的なぜん息と似ています。しかし、典型的なぜん息特有のぜん鳴や、息苦しさはありません。しかし、治療しないと、典型的なぜん息になる確率が高くなるので注意が必要です。

COPDの咳の特徴は、長引くこととたんを伴うことです。たばこの煙などの有害物質は肺や気管支を傷つけ慢性的な炎症を起こし、たんを外に出す線毛も傷付きます。そのため、たんを排出する機能が弱まります。さらに、たばこの煙はたんの成分である粘液を作る細胞を増やしてしまうので増えた分泌物をたんとして出そうとして咳も増えてしまいます。

咳・たんは増悪の指標に

増悪とは症状が急に悪化することで、ぜん息では発作と呼ばれていました。ぜん息、COPDともウイルスや細菌による気道感染症が原因になることが多く、ぜん息ではダニやハウスダストなど、アレルギーを起こすアレルゲンや寒暖差も原因になります。

増悪の目安が咳の回数や、たんの性状や量の変化です。ぜん息の急性増悪では、気管支平滑筋が通常よりさらに収縮し気道が狭くなり、息苦しさが強くなります。また咳やたんが出やすくなり回数が増えます。

COPDの増悪では、咳の回数とたんの量が増え、たんの粘り気も強くなります。もともと気道の細胞が傷ついているため細菌感染を受けやすく、たんの色が黄色や緑色になることもあります。

粘液栓って何?

COPDやぜん息の患者さんでは、炎症により気管支の細胞から粘り気の強い粘液が分泌されやすくなり、その結果、たんの切れが悪くなり、たんの量が増えます。さらに、分泌された粘液の粘り気が強く量も多いと、たんとして吐き出すことができず、気道で固まって粘液栓になり気管支をふさいでしまいます。最近の研究では、COPDの患者さんで粘液栓があると、死亡率や肺がんの発症リスクを高めるというデータが示されています。

粘液栓は長期間続くやっかいな病態ですが、ぜん息患者さんについては、生物学的製剤の治療効果が期待されています。COPDの患者さんについては、吸入抗コリン薬、喀痰調整薬、マクロライド系抗菌薬の組み合わせによる有効性が検討されています。

咳は水を飲むと収まることも

ぜん息やCOPDなどの患者さんが咳やたんと上手に付き合うために重要なことは、原因となっている病気あるいは、元々の病気を悪化させないように、きちんと治療を続けることです。また、咳やたんを増やす風邪や気管支炎、肺炎などの感染症にかからないようにすること、ワクチン(インフルエンザ、新型コロナ、肺炎球菌、RSウイルス)を接種すること、アレルゲンや寒暖差などを避けることも大切です。

一方、コンサート会場や混雑した列車内など咳をしづらい状況で、「咳をしたい」と感じたときには、咳を止めるための自分に合った対処法をみつけて、それを実行するとよいでしょう。具体的には、咳をしたくなったら、水分を一口少し飲む、一口多量に飲む、連続して飲む、水分がなければ唾液を飲む、などです。飲むときにはいつもより、のどに力が入るような感覚で飲み込むのがよいとされています(イラスト2)。このほか、氷をなめる、ミント味以外のノンシュガーの飴をなめる、口をすぼめて呼吸をする、などが効果的とされています。

通常は、たんを伴う咳は、止めない方がよいのです。異物を排出して、気道をきれいにしていると考えられるからです。しかし、咳は体への負担が大きいため、苦しい咳が続くようでしたら主治医に相談してください。

イラスト2 体の前で両手を力強く合わせて、息こらえをした状態で嚥下するのも良い
体の前で両手を力強く合わせて、息こらえをした状態で嚥下するのも良い
イラスト2 顎を胸に近づけた状態で嚥下
顎を胸に近づけた状態で嚥下
イラスト2 舌を上顎に強く押し当てながら嚥下
舌を上顎に強く押し当てながら嚥下
イラスト2 舌を前に出して前歯と唇で軽く挟んだまま嚥下
舌を前に出して前歯と唇で軽く挟んだまま嚥下

松本先生の資料をもとに作成

たんは水分補給で出しやすく

たんを出しやすくするには、こまめな水分補給が重要です。水分が不足すると、たんは粘り気が強くなり出にくくなります。室内の乾燥も、たんの水分を減らすので加湿器も有効です。

入浴により、リラックス効果で呼吸筋の緊張が低下して、呼吸がしやすくなったり、また気道の加湿効果で線毛が運動しやすくなったりする効果が期待されます。入浴で体を温めると気道がゆるみ、線毛運動が改善するうえ加湿効果もあります。

また、深呼吸や腹式呼吸を行うと、肺や気道が膨らみ、気道の分泌物が移動しやすくなります。軽い運動やストレッチも体を動かすことで肺が広がり、呼吸をするための筋肉の動きもよくなります。そして、何より有効なのは禁煙です。受動喫煙を含め、たばこはたんを増やす最大の原因。禁煙はとても重要です。

上手にたんを出す方法をイラスト3で示しています。動画も公開していますので、参考にしてください。

たんは人体の防御機能でもあるので、透明〜白で、切れがよく、生活に支障のない程度であれば、あまり心配はいりません。たんは気道の調子のバロメーターともいえます。飲み込まないで、ティッシュに出して観察してみましょう。色(透明・白・黄・緑)、粘り気、量をチェックし、量が増える、粘りが強くなる、黄色・緑色になる場合は、早めに主治医に相談してください。

イラスト3 横向きに寝て、手を脇の下のところにおきます
横向きに寝て、手を脇の下のところにおきます
イラスト3 鼻からゆっくり息を吸って、口からゆっくり息を吐いて、深呼吸します
鼻からゆっくり息を吸って、口からゆっくり息を吐いて、深呼吸します
ポイント
もう吸えないところまで胸いっぱい吸ってから、ゆっくりと吐きましょう

息を吸ったときに、胸が横に広がっていることを確認します

イラスト3 たんが上がってきそうになかったら、深呼吸を繰り返します
②の姿勢で休み、たんが上がってくるのを待ちます

たんが上がってきそうになかったら、深呼吸を繰り返します

イラスト3 大きく広げた両手を脇の下に置き、息を吐くときに押さえます
大きく息を吸って、勢いよく「ハーッ! ハーッ!」と口から息を吐きます

大きく広げた両手を脇の下に置き、息を吐くときに押さえます

イラスト3 大きく息を吸って「ゴホン!」と咳をします
大きく息を吸って「ゴホン!」と咳をします
ポイント
咳は3回まで。それ以上おこなうと疲れます

※排たんは疲れやすいです。1日2〜3回、1回20分以内にとどめましょう

※疲れないように、続けておこなわず、間に休みをとりましょう

※外出前や就寝前など、時間を決めて日常生活の中で規則的におこないましょう

上手にたんを出す方法の動画はこちら(別ウインドウで開きます)

環境再生保全機構 HPをもとに作成

咳過敏症には新薬も

ぜん息やCOPDの患者さんはきちんと治療していても咳が続くこともあります。繰り返す咳によって気道の感受性がさらに高まり過敏に反応してしまう咳過敏症を併発しているかもしれません。

改訂された「咳嗽・喀痰の診療ガイドライン第2版2025」では、咳過敏症の治療の重要性が指摘されました。副作用の多い従来の中枢神経に働く咳止めではなく、末梢神経に働きかける選択的P2X3受容体拮抗薬「ゲーファピキサント(商品名リフヌア®)」の服用を検討することが初めて盛り込まれました。

この薬は、感覚神経の末端に存在し咳を引き起こすP2X3受容体の働きを邪魔することで、咳を抑える新タイプの薬です。しつこい咳で困っている方は主治医に相談してください。

一方、喀痰調整薬と呼ばれるたんの治療薬(通称去痰薬)には、たんのもとになる気道粘液の産生を抑える薬(商品名クリアナール®、スペリア®)と、粘液を分解してたんの粘り気を弱める薬(商品名ムコフィリン®、チスタニン®)、粘液の成分を正常化する薬(商品名ムコダイン®)あるいは線毛運動を活発にし、気道表面の粘液層をスライドしやすくする肺表面活性物質の分泌を促進する薬(商品名ムコソルバン®)などがあり、たんを出しやすくします。

基本的には1剤で服用を開始し、効果が乏しい場合は他に変更する、あるいは組み合わせて使う場合もあります。

小児の咳 多くは呼吸器感染症

小児の咳も成人と同様に、期間によって急性咳嗽、遷延性咳嗽、慢性咳嗽に分けられます。持続期間が3週間以内の急性咳嗽では、多くが呼吸器感染症によるもので、2週間で9割以上が軽快するとされています。持続期間が長引くにつれて百日咳や肺炎マイコプラズマのほか、感染症でない疾患が原因の咳が増えていきます。気になる咳が長く続くようでしたら、かかりつけ医を受診することをおすすめします。また、受動喫煙の影響で咳が出ることに保護者は気をつけなければなりません。

激しい咳は百日咳かも

2025年に年間の累積感染者が8万8000人を超え、これまでの最多となった百日咳は乳児・小児に多い病気で、感染者の咳やくしゃみなどの飛沫に含まれる百日咳菌の感染で発症します。

風邪のような症状で始まり、熱はあまり出ません。その後、連続して続く強い咳込みが起こるようになり、乳幼児では、咳の合間に息を吸うときに「ヒュー」という笛のような音(笛声)が聞こえることがあります。

新生児や乳児では、十分に咳ができずに無呼吸になることや、呼吸ができなくなって顔色が紫になる(チアノーゼ)ことがあります。重症化して命に関わることもありますので、咳が2週間以上続く場合は、早めに医療機関を受診してください。

百日咳は大人もかかります。咳は続くものの激しくなく、ただの風邪だと油断しているうちに、周囲の人にうつしてしまうおそれがあります。

予防にはワクチンが効果的です。現在は生後2カ月から5種混合ワクチン(ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオ、ヒブ感染症)が無料の定期接種として導入されています。妊婦さんや乳児に接する機会のある大人は、有料の任意接種を受けるのも、ひとつの方法でしょう。

たんは鼻水のことも

小児のたんは、成人のたんと粘り気や固形成分の割合などで明確な違いは、はっきりしていません。小児では鼻汁がそのまま、のどに流れ落ちる後鼻漏であることも多く、たんとの区別が難しいことがあります。鼻汁が多いときは、〝たんのように見える鼻水〟である可能性もあります。

また、呼吸器や全身性疾患、神経筋疾患のある乳幼児で、粘り気の強いたんが大量に出る場合には、換気障害や窒息のリスクがあることに注意が必要です。

写真 松本 久子 先生
近畿大学医学部
呼吸器・アレルギー内科学教室
主任教授
松本 久子先生

1990年京都大学医学部医学科卒業。同大大学院医学研究科呼吸器内科学講師、准教授などを経て、2021年から現職。25年から日本学術振興会主任研究員を兼ねる。

読者へのメッセージ

体の防御反応とはいえ咳は不快な症状です。体の負担も大きく、慢性的に咳が出る方は仕事の効率が約30%も落ちるという海外のデータもあるほどです。QOLの低下を招くうえ、咳が心配で映画やコンサートに行きづらいと考える方も少なくありません。長引く咳には、ぜん息やCOPDだけでなく、肺がんなど重大な病気が隠れていることもあります。「咳だけだから大丈夫」などと我慢せず、医療機関を受診して「咳で困っている」と訴えてください。

写真 金子 猛 先生
横浜市立大学医学部長
大学院医学研究科呼吸器病学
主任教授
金子 猛先生

1986年山形大学医学部医学科卒業。横浜市立大学大学院医学研究科病態免疫制御内科学准教授、同大学附属市民総合医療センター副病院長、 呼吸器内科教授などを経て、2014年から大学院医学研究科呼吸器病学主任教授、2024年日本呼吸器学会学術講演会会長。

読者へのメッセージ

たんがない状態が理想ですが、十分な治療を行ってもたんの症状が続くことが少なくありません。たんには、気道に吸い込んだ異物を絡めとって外へ出すことで、気道や肺を守る重要な働きがあります。そのため、透明〜白色で切れがよいたんであれば、ある程度出ていても心配はいりません。たんは、「気道や肺の状態を映す鏡」です。日々の変化を観察することで、気道の状態の変化に早く気づくことができます。たんとうまく付き合うことが大切です。