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熱中症に気をつけましょう!①(全3回) ~新型コロナウイルス感染症の流行をふまえて~

新型コロナウイルス感染症に対する「新しい生活様式」が定着してきました。身体的距離をとり3密を避け、マスクを着用し、手洗いや手指消毒を徹底することです。ぜん息やCOPDの患者さんは日ごろから感染症予防に気を配っていますが、これからの暑い季節は熱中症予防も大切になります。新型コロナウイルス感染症の流行が収まらない中、熱中症予防のポイントや、ぜん息、COPDの方が気をつける点などを大阪府結核予防会大阪複十字病院副院長の松本智成先生にうかがいました。3回に分けてお伝えします。

ポイント!

冷房中でもときどき換気を! 屋外で距離があればマスクをはずして休憩しましょう。

松本智成 先生 大阪府結核予防会大阪複十字病院副院長
松本智成 先生

涼しい服装で こまめな水分補給

熱中症は以前、日射病や熱射病と言われていました。直射日光を長時間浴びたり、高温多湿な環境で長い時間働いたりなどが原因とされていたからです。2000年から熱中症に統一されました。

人間の体温は36度台で安定しています。体温が上がっても汗の蒸発や皮膚温度が上がることで、体の熱を外に逃がす仕組みがあり体温を一定に保ちます。しかし、暑い場所でスポーツや労働を続けると汗により体の水分が失われたり、体温の調節機能が弱くなっている高齢者や基礎疾患のある方などでは、体温上昇と調整機能のバランスが崩れて、体に熱がたまってしまい熱中症に至ります。

熱中症予防の要点は、涼しい服装、涼しい場所、涼しい時間帯と、こまめな水分補給です。しかし、今は新型コロナウイルス感染症が流行しており、マスクをつけるなど新しい生活様式が定着しています。

感染予防に重要なマスク 一方で体に負担も

マスクをつけると、呼吸により体の熱を逃がす働きが弱まることと、水分補給の機会が減ってしまうことが心配されます。マスクをつけて運動すると、心拍数や呼吸数が増加し、マスクをつけている部分の皮膚温度は、つけていない人の顔の温度に比べて1.76度高いという報告もあります。屋外で運動するなどの場合、3密状態ではなく、他の人との距離が十分に離れていれば(おおむね2メートル)マスクをはずして休憩するなどして、体への負担を減らすことが大切になります。

涼しい環境を保つには、エアコンを使い室内温度を管理することが必要です。ここで重要になるのが換気です。閉め切りにするのではなく、エアコンを使っていても窓を開けて換気してください。高齢の方には暑さを我慢してエアコンをつけなかったり、節約したりする人もいるでしょう。しかし、新型コロナが流行する今年の夏は、もったいないと思ってもエアコンをつけたうえ、ときどき窓を開けて換気をしてください。

体が暑さに慣れない梅雨どきは注意

熱中症は真夏にかかる人が多いのですが、梅雨どきなどで急に気温が上昇した日に熱中症になる人が増えています。体が暑さに慣れていない今の時期は危険といえるため、十分な注意が必要です。暑さに慣れるには、少し暑い環境でウォーキングなどの軽い運動を続けるとよいのですが、今年は新型コロナウイルス感染症の影響で家にいる時間が長くなり、多くの人が運動不足になっていることが心配されています。

咳などの症状がないことを確認し 朝のうちに運動を

COPDの方は体を動かすことがとても重要です。涼しい服装で、人出が少なく涼しい朝のうちに軽い運動をしてください。暑くなる午後には外出を避けましょう。外出や運動前には、咳や発熱などの症状がないことの確認も忘れないでください。

次回は、COPDやぜん息の患者さんと、その家族の方が、熱中症予防において、特に注意しなければならない点について、松本先生にうかがいます。

環境省熱中症予防サイト

松本智成(まつもと・ともしげ)先生

1993年大阪大医学部医学科卒業。大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター臨床研究部長兼感染症センター長などを経て、2015年から大阪府結核予防会大阪病院診療部長。16年から副院長。日本救急医学会、日本呼吸器学会などのワーキンググループが昨年6月に公表した「新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言」のメンバーの一人。(大阪府結核予防会大阪病院は7月1日から大阪府結核予防会大阪複十字病院に名前がかわりました)