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暖かくなってきたこの季節…
子どものアトピー性皮膚炎のスキンケアを見直そう!
② アトピー性皮膚炎のスキンケアQ&A

5月の大型連休を控え、レジャー等での外出が増えるこの時期。お子さんが汗をかく機会も増えてくるため、あらためてスキンケアのポイントを振り返っておくことが大切です。

前回はアトピー性皮膚炎の「治療の三本柱」をご紹介しました。第2回では、三本柱のなかでも皮膚のバリア機能の強化に重要な役割を果たす「スキンケア」で、よくある質問をQ&A形式でご紹介します。
※この内容は『すこやかライフ52号』をもとに再編集したものです。
(取材先:東京都立小児総合医療センター 益子育代先生(肩書は取材当時))

Q.
石けんはどのようなものを選ぶといいですか?
A.
個体、液体など形は問いません。

泡立てることが大事なので、よく泡立ち、体に合うものを選びましょう。添加物の少ないもの、無添加のもの、皮膚と同じ弱酸性のものは刺激が少ないのでよいでしょう。

ただし、髪の毛を石けんで洗うと石けんカスが残り悪化の原因となりうるので、髪の毛はシャンプーで洗いましょう。

Q.
保湿剤はどのようなものを選ぶといいですか?
A.
医師や看護師、薬剤師と相談し、皮膚の状態や季節、用途によって使い分けをしてもよいでしょう。

治療をして皮膚がきれいになった後でも、保湿を続けることで、再び湿疹が現れるのを防ぎます。そのため、皮膚の保湿は欠かせません。

夏はローションタイプ、冬はクリームや軟膏タイプを使う、朝はローションタイプ、夜はクリームや軟膏タイプを使うなど、季節、時間、用途に合わせて使い分けをするとよいでしょう。

※初めて使用する際は試し塗りをして、異常がないか確認しましょう。
※使用中に皮膚が赤くなったり、かゆくなったりしたら直ちに使用を中止し、医師に相談しましょう。

東京都立小児総合医療センター 益子 育代 先生(肩書は取材当時) 東京都立小児総合医療センター
益子 育代 先生(肩書は取材当時)

【保湿剤のタイプ】
ローション
  • ・べたつきがなく、広い範囲につかうことができる
  • ・とくにあせものできやすい夏に使いやすい
  • ・頭皮にも使いやすい
クリーム
  • ・水性でよくのびるので、広い範囲に使いやすい
  • ・べたつきもあまりなく、使用後はさらっとしている
軟膏
  • ・油性で水をはじく。皮膚を保護して水分の蒸発を防ぐ
  • ・冬の乾燥時期に使いやすい

※ローションには、スプレータイプやフォーム(泡)タイプがあります。スプレータイプは背部にも使いやすく、フォームタイプはのばしやすいなどのメリットがあります。

【保湿剤に使われる成分】
主な働き 成分 長所 短所
皮膚の中の水分を
保持する
セラミド
  • ・バリア機能強化と、水分を皮膚にとどめる「水分保持能」に優れている
  • ・市販のものでは含有量が少なく効果が不十分である
  • ・高価である
ヘパリン
類似物質
  • ・「水分保持能」に優れ、長時間効果が持続する
  • ・べたつかず、のびがよく、使用感がよい
  • ・炎症部位に塗ると、ヒリヒリとした刺激感や皮膚が赤くなるなどの症状が出ることがある
尿素
  • ・天然の保湿因子であり、角層をやわらかくする作用に優れている
  • ・皮膚が乾燥して硬くなるのを抑える
  • ・刺激感があり、バリア機能を低下させる
  • ・アトピー性皮膚炎の皮膚には、しみる場合がある
皮膚の表面を保護し、水分の蒸発を防ぐ ワセリン
  • ・皮膚の表面に油膜をつくり水分の蒸散を防ぐ
  • ・角層をやわらかくする
  • ・べたつく、衣類が汚れるなど使用感が若干悪い
  • ・夏に使うとあせもができやすい

身体の洗い方/流し方、保湿剤の塗り方について、乳幼児スキンケア動画にまとめていますので、ぜひご活用ください。