記録で見る大気汚染と裁判

西淀川大気汚染公害裁判

学校内調査資料

医者      

大気汚染公害から子どもたちの健康を守るために、学校医や地域医療に携わる医師たちの役割もまた大きなものでした。児童のアンケート調査や講演会の資料が残されています。

◆『児童の自覚症状と大気汚染 昭和54年度』(大阪府医師会学校医部会、1980年3月)

大阪府医師会では、大阪府内の全公立小中学校児童の健康状態について1971年以降隔年に調査を実施しました。この資料は、第5回目にあたる1979年度の調査結果を、図表やグラフ、文章でまとめた報告書です。
調査では、児童に「のどがいたい、はしかい(いがらい、むずがゆい)」「へんとうせんがよくはれる」「くしゃみがでやすい」などの自覚症状についてアンケートを実施し、地区別、市区町村別、2km(1km)区画別などで統計しています。また、大気汚染測定値や二酸化窒素、二酸化硫黄濃度と、自覚症状の訴えとの相関性を検討しています。

◆『公害と学校保健に関する学術講演会 講演要旨』
(大阪府医師会、大阪府学校医会、大阪市学校医会ほか、1970年6月)

1970年6月、大阪府医師会・大阪府学校医会・大阪市学校医会の主催、大阪府・市教育委員会の後援で開かれた「公害と学校保健に関する学術講演会」の講演要旨です。講演は、次の2本でした。
大阪府立成人病センター 清水忠彦「大気汚染と学童の健康」では汚染された地域と非汚染地域の児童の自覚症状や呼吸機能、ぜん息様疾患の発症率、のどの所見を比較し、大気汚染が児童の健康に与える影響を述べています。
京都大学工学部衛生工学教室教授 山本剛夫「騒音とその影響」では騒音が人体に与える影響(不快感、日常生活の妨害、生理機能の低下、聴力障害)と、規制基準について述べています。