記録で見る大気汚染と裁判

西淀川大気汚染公害裁判

学校内調査資料

福小学校      

福小学校は工場地帯に近く、公害の被害が激しかった地域です。保健部による調査が行われていました。

◆『資料 公害(大気汚染)』(大阪市立福小学校保健部、1971年12月)

大阪市立福小学校保健部が、西淀川区や福小学校の大気汚染公害の実態を、さまざまなデータをもとに考察し、図表やグラフ、文章でまとめたものです。
表「亜硫酸ガス濃度の比較」では、1969年度の区内平均は0.083ppm、70年度は0.078ppmで、国の基準(0.05ppm以下)を大きく上回っています。なかでも福小学校では、69年度は0.12ppm、70年度は0.094ppmで、国の基準の2倍近くになっていることが分かります。
表「福小学校の亜硫酸ガス濃度」では、1969年11月に、最大1時間平均値1.46ppmを記録しており、しかも、福小学校は公害モニタリングステーションに指定されておらず、大阪府公害監視センターに直結していないため、「これらのことが事後になって単なるデーターとしてのみ示され(しかも公表されない)スモッグ注意報や警報など緊急事態発生時に何らの警告も対策も打たれていない」ことが問題であると指摘しています。
その他、「福小学校のぜんそく児童数と認定患者数」「うがいの実施状況」などが掲載されており、発育途上にある12歳以下の子どもたちの深刻な健康被害のようすが分かります。

◆『大気汚染影響調査実施要綱』(大阪市立福小学校、1973年1月)

西淀川区小学校保健研究部は、1969年から1970年にかけて、公害地域の児童が受けている大気汚染の影響と、今後必要な健康管理と指導を研究するため、区内全児童を対象に、大阪府立成人病センター、大阪大学付属病院小児科などと協力して、健康調査を行いました。その結果大気汚染の影響を受けていると判定された児童について追跡調査が行われ、これは、その福小学校での実施要項です。調査対象者や日程、方法などが記載されています。