ヒューヒュー、ゼーゼーは、空気の通り道(気道)が狭いときに聞かれる、ぜん息に特徴的な症状です。 ただし乳児はもともと気道が細いため、風邪をひいただけでもゼーゼーすることがあります。乳児のぜん息と風邪を区別するのは簡単ではありません。息苦しい症状が見られる、ゼーゼーをくり返しているなどの場合はぜん息が疑われるため、早めに医療機関を受診しましょう。
乳児はもともと気道が細いため、風邪でもヒューヒュー、ゼーゼー、ゼロゼロがよく聞かれます。その他にも胃液が食道に逆流しやすい、飲み込む機能に異常がある、気道が狭い・柔らかい、生まれつき心臓に異常があるなどの場合もゼーゼーすることがあります。乳児のぜん息をこれらの病気と区別するのは簡単ではありませんが、ゼーゼーの状況を詳しく観察して伝えることが大切です。
乳児期にゼーゼーしてぜん息と言われても、そのままずっとぜん息が続くとは限りません。3歳までに治るタイプや、3歳を過ぎて6歳までに治るタイプ、6歳を過ぎても続くタイプなどいろいろあります。どのタイプであってもゼーゼーを放置せずに、早めに治療することが大切です。
ゼーゼーの症状があるときは、次の①~③についても観察し医師に伝えましょう。
乳児は、自分で“苦しい”と訴えることができません。大人が注意深く観察して息苦しさに気づくことが大切です。以下のような症状が見られる場合には早めに医療機関を受診しましょう。
アトピー性皮膚炎や食物アレルギーがある子、家族にぜん息の人がいる子、男の子、などがぜん息になりやすいと言われています。さらにタバコの煙、ダニ、ペット、風邪、大気汚染物質などの環境因子がぜん息を起こすきっかけになります。ぜん息を確実に予防できる方法はありませんが、なりやすい子どもはこれらの環境因子に注意しましょう。
小児ぜん息は2歳までに約6割、6歳までに8,9割が発症し、男児に多く見られます。ぜん息になりやすい体質は遺伝するため、家族にぜん息があると、子どもがぜん息になる可能性が高くなります。しかしぜん息の発症には環境因子の影響も大きいため、両親がぜん息でも必ず発症するわけではありません。
ほとんどの小児ぜん息はアレルギーと関連しています。他のアレルギーの病気(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、アレルギー性鼻炎など)がある子どもは、アレルギー体質をもつことが多く、ぜん息にもなりやすくなります。
家族の喫煙は子どものぜん息発症や症状悪化の原因となります。タバコの煙は気道に炎症を起こし、子どもの肺の成長を妨げます。喫煙者のはく息にも有害物質が含まれるので、屋外やベランダで喫煙した場合でも子どもに影響します。特に妊娠中は、おなかの中の子どもの発育や発達にも悪い影響を及ぼします。喫煙は本人の健康も害します。家族に協力してもらい卒煙しましょう。禁煙外来を利用するのもいいでしょう。
イヌ、ネコなどの毛のあるペットへのアレルギーもぜん息の原因になります。ぜん息になりやすい子どもがいる家庭では、ペットの飼育には注意が必要です。
小児ぜん息ではダニへのアレルギーが主要な原因になります。こまめな掃除、寝具の手入れなど家の環境からダニを少なくする対策は、ぜん息の悪化予防に有効です。
室内外の大気汚染物質は気道を刺激して、ぜん息を起こりやすくします。黄砂やPM2.5など屋外の大気汚染は個人レベルでの解決は困難ですが、情報に注意して不要な外出を避けるなどの対策をしましょう。
乳児期に風邪をひいてゼーゼーをくり返す子どもはその後ぜん息になる可能性が高くなります。風邪予防のために、ワクチン接種、家族の手洗い、うがいを心がけましょう。風邪の症状が軽い場合でも、咳が長引く、ゼーゼーするなどがあれば早めに医療機関を受診することが大切です。
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