我が国は1950年代半ばから1970年代初めまで他国には類のない経済成長を遂げる一方、これに相対する形で深刻な大気汚染や水質汚濁などの公害問題に苦しみました。これら公害問題克服のため、地域住民の地道な活動と産官学の連携により、公害対策に多大の努力を払い、世界有数の公害対策先進国となりました。
その後、我が国では都市公害問題や廃棄物問題の対策を経て、現在では地球温暖化をはじめとする気候変動対策に加え、我が国が直面する環境、経済、社会に関わる複合的な危機への対応が、最大の課題となっています。
これら課題の解決に向けて、我が国では2050年カーボンニュートラルと2030年度温室効果ガス46%削減目標や、気候変動と密接な関係がある生物多様性の保全や資源循環等の目標を掲げていますが、その達成は決して容易なものではなく、全ての社会経済活動において、持続可能な社会経済システムへの転換を進めることが不可欠となっています。
独立行政法人環境再生保全機構(ERCA)の業務は、公害により健康被害を受けられたかたがたへの補償、公害による健康被害の予防、中皮腫などの石綿(アスベスト)による健康被害を受けられたかたがたへの医療費の給付といった人の命と環境を守る基盤的な取組から環境保全に取り組む民間団体が国内外で行う環境保全活動への助成及び人材育成・情報提供、環境政策及び科学技術・イノベーション政策に貢献する研究・技術開発の推進など社会課題の解決による持続可能な成長を目指す業務に至るまで多岐にわたっています。これらに加え、令和6年度から新たに熱中症対策の推進等や、持続可能な循環共生型の社会の実現を目指す役割も担うこととなり、環境、経済、社会課題の統合的解決に向けた業務の幅がさらに広がっております。
ERCAは、これらの業務を適切かつ着実に推進するとともに、独立行政法人に求められる自主的・自律的な組織及び業務運営を行い、環境分野の政策実施機関として国内外からの様々な要請に応え、将来にわたって「ウェルビーイング/高い生活の質」の実現を目指す環境政策のパートナーとして、その一翼を担ってまいります。
新たな時代に向けて、今後とも一層のご指導、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
独立行政法人 環境再生保全機構 理事長
私たちは、環境分野の政策実施機関として良好な環境の創出と保全に努め、地球規模で対策が必要となる環境問題に対し、機構が有する能力や知見を活用して、国内外からの様々な要請に応えることにより、真に環境施策の一翼を担う組織となることを目指します。
良質なサービスを提供し、機構と関わりのある組織や人々との良好な信頼関係の構築を目指します。
公共性の見地から業務遂行の透明性を確保するとともに、組織と業務の効率的運営に努めます。
関係法令、規程等を厳正に遵守するとともに、常に環境に配慮しつつ業務を遂行し、社会の範となるよう努めます。
職員の業績や能力を適正に評価し、環境施策のエキスパートの育成を図り、活気のある職場の構築を目指します。