
代表者:木田厚瑞(東京都立老人医療センター部長)
慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease;COPD)は高齢者に頻度が高い疾患である。
高齢化とともに症状は非定型となり、他臓器、他臓器の障害、合併症を伴うことにより、病態はさらに複雑化する。
特徴的な症状として労作性の呼吸困難があげられ、これによって外出、日常生活は著しく制限される結果となる。
また治療方針は成人の場合に実施されているような画一的な治療が奏功しないことが多い。
長期予後においては一般に次第に病態が増悪する結果、ADL(activities of daily living)の低下を来し、QOL(quality of life)はさらに下降傾向をたどる。
予後においても特徴がある。重症化すれば慢性呼吸不全となり在宅酸素療法や在宅人工呼吸法の導入が必要となる。すなわち高齢、重症のCOPDではQOLの低下と重症化により医療費がかかるという。複雑な病態と治療内容の再検討が強く求められている。
そこで、本研究では高齢で重症であってもQOLを向上させ、かつ医療経済面の効率をどのように上げるか検討することを目的とした。