ぜん息などの情報館

2-1 小児喘息の有症率とその動向に関する調査研究

代表者:赤澤 晃

研究課題の概要・目的

これまで気管支ぜん息を中心に小児のアレルギー疾患疫学調査が国内で行われてきた。しかし、個人情報の扱いなどの社会事情の変化、人的、金銭的コストなど既存の電話調査、訪問調査や学校調査は今後の継続性に課題が残る。その中でインターネットを利用した調査は既存の調査とは異なり、将来の事業に対する評価を行う上でも利用を検討すべき手法である。
本研究ではインターネット調査の信頼性、有用性および継続可能性を検討し、対象地域における現在のインターネットを利用した有症率結果を算出することを目的とする。

年度ごとの研究目標(計画)

平成23年度

  1. インターネットを利用した調査の検証調査の実施と対象地域の有症率調査を行う準備をする。日本で利用されることの多いATS-DLD(American Thoracic Society Division of lung Diseases)と現在国際比較可能なISAAC(International Study of Asthma and Allergies in Childhood)の2種類の調査用紙を主な調査項目とし、ウェブ画面に適した形に変更したものを作成する。その画面を用いて、紙媒体でATS-DLDとISAACの調査を行っている地域と同時にインターネット調査を実施する。
  2. ぜん息に代表されるアレルギー疾患は、季節により発症に違いがあることは認識されているものの、既存の疫学調査ではそれに対して十分配慮されているとは言い難い。対象地域の有症率調査は、インターネットでは複数回の調査が紙媒体の調査と比較して行いやすい利点を利用して、1年間を通して疫学調査を実施する。

平成24年度

従来の調査では、調査期間が長く季節あるいは調査月の影響を示すことは困難であったが、調査期間が短いインターネット調査ではこの変動をとらえることができる。本研究では、月ごとの有症率がどのように変化するかを調査し、喘息有症率調査の実施時期について検討することを目的とする。

2年間の研究成果

平成23年度

  1. インターネットを利用した小児のアレルギー疾患疫学調査は、調査画面作成や九州地区のサンプル数の確保、回収率など調査実施としては計画通り行えた。しかし、九州地区など大きな地域設定では小児でも行えたが、特定の地域(地域の市町村単位)での有症率を算出する疫学調査は、現状ではサンプル獲得という点においてインターネットを用いて行うことに課題が残った。
  2. 有症率の調査では、過去の調査と比較するとATS-DLDでやや高い傾向にあった。しかし、経年的に増加傾向でありそれが調査時期による影響(経年的変化)か、調査手法の差なのかは評価できず、同時期に実施した調査との比較が必要である。

平成24年度

月毎の年間の有症率の推移では、10、11月が有意に高く、最近12か月の有症率は、最近1か月の有症率と強く相関していることが判明した。助成対象地域と助成対象外地域での喘鳴期間有症率、重症喘息有症率、喘息既往ともに1%前後、助成対象で高い値を示した。

評価結果

このページの先頭へ