ぜん息などの情報館

厚生労働省における取組

ぜん息や慢性気管支炎・肺気しゅなどの呼吸器疾患並びにぜん息に関連するアレルギー疾患など環境保健の分野に係わる調査や研究が、環境省及び厚生労働省で行われています。ここでは、環境省や厚生労働省で行われている調査研究などの取り組みについて紹介します。

厚生科学研究

国民の保健および福祉に関する行政施策の科学的な推進の確保ならびに技術水準の向上を図るために必要と認める課題について、調査研究を実施するために必要な経費を研究者等に補助する厚生科学研究費に基づく調査研究である。

アレルギー疾患関連調査

平成4年度にアレルギー総合研究事業が創設され、喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎等のアレルギー疾患の病因・病態の解明、予防法・治療法の検討、罹患実態の把握等のための調査研究が、次のとおり研究の体制に変更を加えながら行われている。

1.平成4年度~平成6年度:アレルギー総合研究事業

  • 環境要因研究班
    食品班:消化管を介した免疫・アレルギーの研究、アレルギーを起こす食品の構造解明、低アレルゲンの食品の開発
  • 臨床研究班
    気管支喘息班:気管支喘息の病因・病態の解明、気管支喘息の治療マニュアル
    花粉症班: 空中花粉の分布と各種花粉による感作発症の実態解明、予防法と治療法の検討、HLAとの関係
    アトピー性皮膚炎班:病因・病態の解明
  • 疫学研究班
    疫学研究班:アレルギー性疾患の診断基準の作成、疫学調査の実施

2.平成7年度~平成9年度:長期慢性疾患総合研究 ― アレルギー班

(長期慢性疾患総合研究は、成人病対策総合研究、腎不全医療研究、糖尿病調査研究、リウマチ調査研究、アレルギー総合研究を統合して平成7年度に新たに発足)

食品班:腸管における粘膜免疫機構による食物アレルギーの成立機構の解明、粘膜免疫機構の免疫寛容現象を用いた食物アレルギーの制御、食物アレルギーを引き起こすアレルゲン構造の解析と低アレルゲン食品の開発

病因・病態班: ダニ抗原量の簡便な測定法の開発、有効なダニ駆除法の検討、ダニ量の現象によるアレルギー疾患の改善効果、住環境に起因するダニ以外の原因の解明

花粉症班: 花粉による感作と発症の要因、症状の発現と悪化の要因、マスク、メガネの予防効果、予防法、治療法の検討

気管支喘息班: アトピー型、非アトピー型の病態生理、慢性喘息患者の病態生理、喘息の長期管理のための患者指導マニュアルの作成、発作時の家庭での対処法の検討、薬物療法

アトピー性皮膚炎班:アトピー性皮膚炎の発症機序の解明、治療法の開発、患者のQOL向上の検討

疫学研究班: 全国的な住民調査、医療機関受診者調査結果に基づくアレルギー疾患患者の動態、アレルギー疾患患者の病態、アレルギー疾患の診断に関する検討

3.平成9年度~平成12年度:感覚器障害および免疫・アレルギー等研究事業

  • 気管支喘息の難治化の病態・機序の解明と難治化の予防・治療法の開発に関する研究
  • 気管支喘息の改善・自然寛解機序の解明による根治療法の開発に関する研究
  • 気管支喘息急性期治療における薬物の科学的根拠に関する研究
  • アレルギー疾患にかかわる体内・体外因子の同定に関する研究
  • アトピー性皮膚炎の病因病態の解明と難治化の予防・治療法の開発に関する研究
  • 花粉症に対する各種治療法に関する科学的根拠を踏まえた評価研究

慢性閉塞性肺疾患関連調査(厚生省特定疾患調査研究)

慢性閉塞性肺疾患、肺結核後遺症、間質性肺炎を主な対象疾患とする呼吸不全に関する調査研究は、昭和53年度に呼吸不全の定義・基準作りからスタートし、在宅酸素療法の導入とその普及に貢献してきた。平成4年度に発足した特定疾患調査研究呼吸不全班においては、呼吸不全患者の実態調査と在宅酸素療法の普及、呼吸不全の病態・予防の具体策、呼吸不全の治療の具体策および呼吸不全の病態や治療に関する基礎的研究が行われ、平成7年度には、次のような課題の研究が実施されている。

  • 喫煙、気腫性病変の有無と肺胞マクロファージのエラスターゼ放出能
  • 肺大薄片標本における肺気腫重症度の評価に関する研究
  • 喫煙が肺構造変化に及ぼす影響のCTによる縦断的検討
  • 在宅酸素療法支援システムについて
  • COPD患者の運動能評価における歩行検査の有用性
  • 肺気腫症患者に対する定量負荷による呼吸筋訓練の長期効果に対する検討
  • 排痰・呼吸訓練機FLUTTERによる呼吸リハビリテーション
  • 在宅酸素療法患者のQuality of Life(QOL)と対処行動様式について等

また、今後の研究の方向、関連分野における研究の方向として、呼吸不全患者のQOL向上を目指すために、息切れ対策が重要であること、科学的根拠に基づく在宅酸素療法適用基準の見直し、在宅患者の急性増悪や突然死の予知に有用なモニタリングシステムの開発・普及、総合的リハビリテーションプログラムの開発等が示されている。

呼吸不全班は平成8年度に再編され、現在は、臨床調査研究グループ-呼吸器系疾患調査研究班-呼吸不全において、慢性閉塞性肺疾患に関する調査研究等が行われている。

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