概要 |
徳島文理大学、昭和大学、理化学研究所の研究グループは、生体内の亜鉛が皮膚の毛包と表皮の形成に重要であることを、マウスと培養細胞を用いた研究から明らかにした。 亜鉛は生命活動に必要な微量元素の1つであり、生体内における亜鉛は、皮膚・骨・筋肉に多く存在している。何らかの原因によって生体内の亜鉛量が減少すると、皮膚炎や骨密度の低下などを発症する「亜鉛欠乏症」となる。 特に、皮膚表皮の脆弱化や脱毛は亜鉛の欠乏によって現れやすい症状の一つとして知られており、これらの組織の形成や維持に亜鉛が重要な役割を果たしていると考えられている。しかし、これまで表皮や毛を形成する細胞での亜鉛の働きは十分に解明されていなかった。 本研究グループは、皮膚の毛包に限局的に発現する亜鉛の輸送体(亜鉛トランスポーター)「ZIP10」に注目し、その役割についてマウスと培養細胞を用いた実験から解明に挑んだ。その結果、ZIP10が欠損すると表皮の形成が著しく阻害され、皮膚のバリア機能が失われることが分かった。 また、毛包の形成も阻害されて、ZIP10の欠損が毛の形成にも支障をきたすことが判明。さらに詳細に調べると、毛や表皮などの上皮性組織の形作りに重要な転写因子であるp63の活性が、ZIP10の欠損によって低下することが分かり、ZIP10が輸送する亜鉛がp63の活性制御に関与していることが明らかになった。 今回の成果は、亜鉛トランスポーターZIP10が毛や皮膚の形成に必要であることを示している。今後、ZIP10の機能を詳細に調べることで、毛や皮膚に関連する病気においてZIP10が有用な治療ターゲットとなることが期待される。 |
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備考 | 詳しくはリンク先からご覧ください。 |
情報発信元 | 徳島文理大学 |
情報掲載URL | http://p.bunri-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2017/10/decde7641de6b7db4dab2547053846ab.pdf |