
すこやかライフNo.43 2014年3月発行
2011年のプロ野球ドラフト1位で広島東洋カープに入団した野村祐輔選手。
1年目から大活躍して見事セントラル・リーグの新人王に輝き、翌シーズンにはクライマックスシリーズ進出に貢献するなど、次期エース候補として大きな注目を集めています。
その球界期待の野村選手もぜん息経験者の1人。
ぜん息とどのように向き合ってきたのか、インタビューしました。
「自分は生まれてすぐ、0歳児で ぜん息を発症していたらしいです。 夜、何度も母親を起こして、病院に 連れて行ってもらったのを覚えてい ます」
いまや近い将来のエース候補ともいわれる野村選手だが、幼少の頃は年に何度も入院するほど、重いぜん息の持ち主だった。
ぜん息であることが影響してか、からだが弱く、体力もなかったという野村選手だが、そのぜん息を改善するために、両親にいろいろなことをしてもらったことを覚えているという。
「ぜん息とわかってすぐにスイミングスクールに通い、3歳頃からサッカーもやっていました。吸入器も家にありましたし、いろいろとぜん息対策をしてもらっていました」
病弱でも、からだを動かすことは大好きだったという野村選手が野球と出会ったのは、小学1年生のとき。なかのよかった同級生に野球チームへの入団を誘われたことがきっかけだった。
「土、日に野球の練習をして、ぜん息の発作が出たり、熱が出たりして、月曜は学校を休んで……という感じでした。ほんとうに体力がなかったのですがそれでも野球が好きだったから、ずっと練習には行っていました。それでまた月曜は学校を休む、というくり返しでした(笑)」
ぜん息に悩まされながらも、野球に夢中になってとり組んでいるうちに、成長とともに少しずつぜん息は影を潜め、小学校高学年から中学生にかけて、発作はほとんど出なくなっていたという。
「ぜん息はあるけど野球だけは絶対にやめたくない、と思っていました。いままで自分自身を弱いと思ったことはないのですが、もしかしたらぜん息に強くしてもらっていたのかもしれません……」
その後、がむしゃらに野球に打ち込み、高校野球ではエースとして甲子園で準優勝、明治大学進学後も数々の記録を打ち立て、注目選手に成長していく。そしてプロ野球選手になることを意識し始めたその頃から、体調管理にも目を向けるようになったという。
「いまでも冬場はせきとか出やすいので、得意ではありません。だから、部屋をあまり乾燥させないようにしたり、手洗いとうがいはしっかりやるようにしています」
子どもの頃はただいわれてやっていたというが、親元を離れて生活し、プロ野球で活躍するという大きな夢を持ったことで、自然と自己管理の意識が芽生えていったのである。
「ぜん息だということを気にしたことはないです。まわりからよくぜん息だといわれ、発作もすごい出て、よく入院もしましたけど、人より多くかぜをひいたくらいに思っていました」
ぜん息をごくあたり前のことと受け入れ、ポジティブにぜん息をとらえ、ぜん息に打ち勝つことができたのは、野球という大好きなもの、打ち込めるものに出会えたことが大きい。だからぜん息に負けず、発作のつらさに耐え抜くことができたのだ、と野村選手は語ってくれた。
また、「こうやって好きな野球に打ち込めてきたのも、両親のサポートがあったからこそ。そこがいちばんだと思う」というように、アレルゲン対策のために郊外に引っ越したり、食事メニューなどにも気を配ったり、数えきれないサポートをしてくれた両親への感謝も忘れていない。
幼少時には想像もできなかったプロ野球選手として3シーズン目を迎える野村選手。2013シーズンは16年ぶりのAクラス入り(3位)に貢献したが、当面の目標は「さらに上を目指し、それを達成したときにその中心にいること」という。
「ぜん息のみんなに勇気を与えるためにも頑張りたい」といってくれた野村選手の活躍にぜひ注目してほしい。みんなも好きなこと、夢中になれるものを見つけ、ぜん息と向き合っていこう。
ぼくがぜん息(そく)のことを「人(ひと)よりちょっと多(おお)く、少(すこ)しひどいかぜをひいた」くらいに思(おも)えたのは、好(す)きなものがあったから。ぜん息(そく)の発作(ほっさ)が出(で)るとすごいつらいけれど、そのつらさをこえるくらいの好(す)きなものをみつけて、夢(ゆめ)をおいかけてほしいと思(おも)います。そうすればからだも気(き)もちも強(つよ)くなって、ぜん息(そく)に勝(か)てるんじゃないかなと思(おも)います。
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<多数のご応募をいただきましたので、締め切りさせていただいております。ご了承ください。>