WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

小児ぜん息 成人ぜん息 COPD その他のアレルギーすこやかライフNo.47 2016年3月発行

読者の広場 お答えします! 読者Q&A 聞いてください! ウチのこんなエピソード 教えてください! あなたのしているこんな工夫

お答えします! 読者Q&A

本誌に寄せられているぜん息&COPDに関するさまざまな悩みや疑問に、編集委員の先生方がわかりやすくお答えします。

読者Q&Aコーナーの質問は、アンケートフォームから

Q COPDの治療に使用される薬は、緑内障の人には使用してはいけない、尿が出にくくなる、と聞きました。詳しく教えてください。(74歳・男性)

A 抗コリン薬は、すべての緑内障や前立腺肥大の患者さんに使えないわけではありません。主治医とよく相談して、正しく使用しましょう。

COPDの治療でおもに使用されるのが「抗コリン薬」という吸入薬です。抗コリン薬は、筋肉に対する神経の作用を調整し、気道を広げる方向に働き、COPDの治療に良好な効果をもたらします。近年では、1日の吸入回数が少なく、効果の高い「長時間作用性の抗コリン薬(スピリーバ® 、シーブリ® )」が発売され、COPDだけでなく、ぜん息にも広く使用されるようになっています。

ただし、この抗コリン薬は「閉塞隅角緑内障(へいそくぐうかくりょくないしょう)」と「前立腺肥大などによる排尿障害」のある患者さんでは使用してはいけない(禁忌)薬となっています。

緑内障には2種類ありますが、「閉塞隅角緑内障」は、目の隅角(目の端にある水分が循環し通る場所)が閉ざされることによって、目の圧力(眼圧)が上がる疾患です。

抗コリン薬は、目の瞳孔を小さくする筋肉を緩めて瞳孔を開かせると同時に、目の圧力を増加させて、閉塞隅角緑内障を悪化させてしまいます。

日本人では、閉塞隅角緑内障の患者さんは、緑内障のうちの1割といわれています。ただし、緑内障自体は加齢とともに増え、40歳以上の有病率は5%です。目の痛みなどがおもな症状ですが、自覚したときには進行している場合が多いので、定期的に眼科で検診を受けておく必要があります。

「前立腺肥大」は加齢に伴う変化で程度はさまざまですが、高い頻度で起こります。前立腺肥大症としての有病率は70歳代で12%と報告されています。

抗コリン薬は、膀胱の筋肉の収縮力を低下させ、尿道の筋肉は収縮させるので、尿を出にくくさせます。

ただし、COPDに使用するのは抗コリン薬の吸入薬ですから、全身作用は少ないので、もともと症状のない患者さんに排尿障害を起こす心配は少ないです。また、尿が出にくいという症状が出たら、早々に薬物を中止すれば、速やかに症状は改善します。まずは、正しく吸入し、肺局所に薬物を到達させることが大事です。

武蔵野大学薬学部教授 山下直美先生


Q 妊娠中のぜん息の治療や管理において、注意すべきことなどを教えてください。(32歳・女性)

A 妊娠中のぜん息患者さんにとって重要なことは、薬をきちんと使いぜん息のコントロールを安定させることです。

妊娠中は肺が圧迫されるため、呼吸機能が低下します。そのため、妊娠したぜん息患者さんのうち、約3分の1はぜん息が悪化するといわれています。ぜん息の状態が不安定になると、低酸素状態になります。赤ちゃんは母親の血液中の酸素で生きているので、母親が低酸素状態になると、赤ちゃんも低酸素状態になってしまいます。これが、赤ちゃんの発育不全や低出生体重・周産期死亡(流産)につながるおそれがあります。

妊娠中に薬を使うのは怖い、と思う方は多いと思います。しかし、ぜん息の薬は、妊娠中に使用してもほとんど問題のない薬です。

長期管理薬である、全ての吸入ステロイド薬は問題ないとされています。その中でもブデソニドの安全性がもっとも高いとされています。また、吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬の配合剤も、問題ないとされています。

この他のβ2刺激薬、テオフィリン製剤、インタール® なども問題ないとされています。ただし、抗ヒスタミン薬に関しては一部注意が必要です。

このように、現在のぜん息治療においてキーとなる「吸入ステロイド薬」や「長時間作用性β2刺激薬」は安全です。ほとんどのぜん息患者さんは、妊娠したとしても通常のぜん息治療を継続して問題はありません。ただし、吸入ステロイド薬と長時間作用性β2刺激薬でもコントロールができない場合は、専門医を受診するほうがよいでしょう。

多少妊娠時期にもよりますが、プレドニンなどの経口ステロイド薬を、発作時に使用しなければならない場合でも、プレドニン(メチルプレドニンも含む)は胎盤で分解され、赤ちゃんにはほとんど移行しませんので問題ありません。

また、授乳中にぜん息治療薬を服用している場合、薬剤は母乳に移行しますが、その量はわずかであり、赤ちゃんに影響が出るおそれはほとんどありません。ただし、テオフィリン製剤使用時は、主治医の先生とよく相談し、赤ちゃんを注意して観察しましょう。

薬よりも重要な問題は妊婦さんの喫煙です。妊婦さんが喫煙することにより、奇形や低出生体重児の発生頻度が増加することは周知の事実です。さらに、妊婦さんがぜん息である場合は、影響がいっそう大きくなります。ぜん息の有無にかかわらず、妊娠中の喫煙は受動喫煙も含めて“絶対禁物”です。

亀田京橋クリニック副院長 金子教宏先生


聞いてください! ウチのこんなエピソード

読者の皆様から寄せられた、うれしかったこと、楽しかったこと、たいへんだったこと、困っていること、失敗談など、ぜん息やCOPDの治療中に身の回りで起こったさまざまなできごとをご紹介します。

エピソードの応募は、アンケートフォームから

自分の体を自分で管理できるように(41歳・女性)

小学校2年生の息子がぜん息です。親が一方的に管理するのではなく、なるべく本人に薬の内容など治療のことを説明して、自己管理してもらうようにしています。なかなか難しいですが、だんだんと自分でできることも増えてきました。自分の体のことなので、よく知ってもらいたいと思います。

合唱部で全国大会を目指す孫を応援(79歳・男性)

孫は小学生のころからぜん息で水泳を続けてきました。今では中学生となり合唱部に入って、友だちと仲良く全国大会の金賞を夢見て、練習にはげんでいます。合唱を続けて、ぜん息の調子もよくなったようです。

COPDになり禁煙の大切さを実感(71歳・男性)

2年ほど前にCOPDと診断されました。たばこは二十数年前にやめたのですが、少なくともそれが原因のひとつと医師から指摘され驚きました。やはり、たばこは百害あって一利なしだと実感しました。


わたしのしているこんな工夫

ぜん息・COPD治療・管理のために行っている「工夫」をぜひ、教えてください。

わたしの工夫の投稿は 応募フォームから

ぜん息の方の工夫

18歳・男性からの投稿

人ごみは避け、ほこりっぽいと感じたときはすぐにマスクをするなど、予防を先に先にするようにして、発作が起こらないように気をつけています。

35歳・女性からの投稿

ぜん息の9歳の息子のために、毎日天気予報で湿度、気圧のチェックをしています。おかげで息子の勉強にも役立っています。

COPDの方の工夫

78歳・男性からの投稿

睡眠を十分にとるようにしています。夜は22時には布団に入り、朝は6時に起床。昼寝を1~2時間とるようにしています。たまに畑仕事をして体を動かしながら、ストレスから身を守ってリラックスすることを心がけています。

わたしの工夫を応募する

(注)投稿いただいた内容のすべてが、WEB上に掲載されるわけではありません。あらかじめご了承ください。

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