WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

小児ぜん息 成人ぜん息、COPDすこやかライフNo.51 2018年3月発行

読者の広場

  • お答えします!読者Q&A
  • ウチのこんなエピソード
  • わたしのしているこんな工夫

お答えします!読者Q&A

本誌に寄せられているぜん息&COPDに関するさまざまな悩みや疑問に、編集委員の先生方がわかりやすくお答えします。

読者Q&Aコーナーの質問は、アンケートフォームから

Q 長年ぜん息ですが、最近、耳の聞こえが悪くなりました。ぜん息と関係はありますか? また、治療方法はありますか?(70歳・男性)

A 気道の炎症が原因で起こるぜん息と、耳の病気は関連することがあります。

中高年のぜん息の方で難聴(耳の聞こえが悪くなる)を伴う場合、加齢によることもありますが、好酸球性中耳炎(難治性中耳炎)がないかの確認が必要です。難聴とともに、耳がつまる、ねばり気が強く止めることが困難な耳だれが出るなどの症状が現れます。好酸球性中耳炎は、男性より女性に多く、ぜん息との合併が8割程度に認められ、鼻茸(鼻ポリープ:水ぶくれのような袋が鼻の中にいくつもできる)の合併も6割程度に認められます。一般的な中耳炎治療では効き目が出にくく、難聴をきたすのが特徴です。

近年、口や鼻から肺にかけての、空気の通り道である「気道」に起こる病気はともに関連し合っているため、気道をひとつの器官として総合的に診ようという「oneairway one disease(ワンエアウエイ・ワンディジーズ)」という考え方がなされています。耳も「耳管」という管状の器官によって、咽頭部分(のど)につながっています。すなわち耳への通り道も気道の一部と見ることができます。実際に、気道の炎症が原因で起こるぜん息と、耳や鼻の病気が関連することはよくあります。アトピー型ぜん息(アレルギーが原因で起こるぜん息)の方は、アレルギー性鼻炎との関連が強く、非アトピー型ぜん息(アレルギーが関与しないぜん息)の方は、好酸球性の中耳炎や副鼻腔炎との関連が強くみられます。

好酸球性中耳炎の治療には、ステロイド薬がもっとも有効です。ぜん息治療のための吸入ステロイド配合剤の強化や、ステロイド点耳薬などが使用されます。医師の指示に従ってください。

好酸球とは白血球の一種です。ぜん息になると気道の粘膜に好酸球が増え、気道を収縮させたり、分泌物を多くしたりする物質を出し、気道の粘膜を傷つけていきます。好酸球性の中耳炎や副鼻腔炎などもぜん息と同じく、増加した好酸球により耳管中耳や副鼻腔の粘膜が傷つけられ炎症の持続している状態と考えられます。

昭和大学富士吉田教育部 教授 田中一正先生


Q 私は、石油ストーブのある部屋で発作が起こることがあります。身の回りのぜん息を悪化させる原因とその対策について教えてください。(68歳・女性)

A 石油、石炭の燃焼、花火やお線香の煙など、さまざまなものがぜん息悪化の要因となります。

ぜん息の人の気道は、外界からのさまざまな刺激に対して健康な人より反応しやすく(気道過敏性の亢進)、狭くなりやすい(発作が起こりやすい)という特徴があります。

室内は密閉空間ですので、空気環境が悪化しやすく、気道過敏性が亢進しているぜん息患者さんは、影響を受けやすくなります。ご質問にあるように、石油や石炭、薪などが燃焼することで空気中に放出される物質に気道が反応し、発作が起こることがあります。煙自体も刺激になるので、お線香、調理時の煙、ロウソクの煙なども悪化の要因です。

室内空気の汚染物質には他にも、たばこの煙、ホルムアルデヒド、ヘアスプレーや殺虫剤などのスプレー品などがあります。個人差がありますが、煙がなくてもにおい自体に反応する場合もあるので、芳香剤などにも注意が必要です。

屋外の因子としては、「大気汚染」が有名です。PM2.5(微小粒子状物質)は、その量が天気予報で紹介されることもありますので、注意してみましょう。

対策としては、こまめに換気をすること、煙を出さない、煙に近づかないことが必要です。花火のように屋外で行われるものでも、影響を受けることがしばしばあります。

煙、強いにおいは避けるのが一番ですが、日頃の治療を十分に行って、発作が起こりにくい状態(気道過敏性がなく健康な人の気道に近い状態)に保っておくことが重要です。

武蔵野大学薬学部 教授 山下直美先生


ウチのこんなエピソード

読者の皆様から寄せられた、うれしかったこと、楽しかったこと、たいへんだったこと、困っていること、失敗談など、ぜん息やCOPDの治療中に身の回りで起こったさまざまなできごとをご紹介します。

エピソードの応募は、アンケートフォームから

病気や体について絵本で教えています(42歳・女性)

3歳と5歳の子どもは、二人ともぜん息です。以前は服薬や吸入を嫌がっていましたが、病気や体のしくみ、天気などについて、絵本を読み聞かせてあげるようにしたら、ぜん息の治療にも興味をもつようになりました。今では、服薬と吸入の大切さを理解しているようで、嫌がることはなくなりました。

ぜん息の認知度が高くなったと実感(48歳・女性)

先日、高校生の娘が学校でぜん息発作を起こしました。後日、学校の先生から、今後学校でできることがあるか相談したい、と電話をもらいました。小、中学生のころは、ぜん息による体調不良でよく早退していましたが、このような対応を受けたことはありませんでした。

これからさらに、ぜん息への理解が深まるといいなと感じています。


わたしのしているこんな工夫

ぜん息・COPD治療・管理のために行っている「工夫」をぜひ、教えてください。

わたしの工夫の投稿は、アンケートフォームから

ぜん息の方の工夫

64歳・男性からの投稿

ぜん息で入院した経験があり、それ以来「ぜん息日記」を書いています。その日の体調のこと以外に、天気や気温、湿度も記録。空欄にはその日、印象に残った出来事もメモしているので、ちょっとした生活日誌にもなっています。

36歳・女性からの投稿

治療法や治療計画など、少しでも疑問があったら医師に質問し、納得がいくまで説明してもらうようにしています。最初は勇気がいりましたが、そうすることで、医師を信頼できるようになり、不安を感じることなく治療を受けることができるようになっています。

COPDの方の工夫

74歳・男性からの投稿

自宅でできる呼吸リハビリテーションとして、鼻から息を吸い、口からストローのように細く息を吐きながら、姿勢を正して足ぶみする運動を、毎朝20分行うようにしています。


わたしの工夫を応募する

(注)投稿いただいた内容のすべてが、WEB上に掲載されるわけではありません。あらかじめご了承ください。

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