ぜん息などの情報館

3-2-3 ぜん息患者および未発症成人における気道炎症病態と大気汚染状況との関連 に関する調査研究

代表者::滝澤 始

研究の概要・目的

ディーゼル車両から排出される大気汚染物質、とくに微粒子物質(diesel exhaust particles, DEP)は都市部における微小粒子状物質の主要なものとして、その呼吸器系への健康影響が懸念され調査研究が進められてきた。しかし、これらの成果を実際の健康被害対策に生かすためにはヒトにおける気道炎症病態のバイオマーカーと大気汚染状況との関連性をぜん息群のみならずぜん息未発症群で比較検討する必要がある。
本調査研究では、ぜん息群および非ぜん息群において呼気凝縮液(EBC)の測定による気道炎症病態の解析を行い、これらにDEPなどの大気汚染がどう影響するかを検討する。以上の研究により、DEP(実際には大気中粒子)曝露に対する高リスク群のスクリーニングのためのバイオマーカーの実効性を検証するための基礎が確立されると期待する。

年度ごとの研究目標(計画)

平成21年度

ぜん息群のみならず、ぜん息類似の気道炎症病態を有するもののぜん息としての典型的な表現型を示さない群、および健常群という、多様な調査対象を設定して、ぜん息およびぜん息未発症群における気道炎症病態と、大気汚染状況との関連性を検討する。各群の気道炎症病態が大気汚染により影響されるかがわかるばかりでなく、ぜん息発症のリスク群を知る第一段階の情報を与える可能性をもつ。

平成22年度

ぜん息群のみならず、ぜん息類似の気道炎症病態を有するもののぜん息としての典型的な表現型を示さない群、および健常群という、多様な調査対象を設定して、ぜん息およびぜん息未発症群における気道炎症病態と、大気汚染状況との関連性を検討する。

3年間の研究成果

平成21年度

EBC中分子マーカー濃度は、全体として気管支ぜん息群がもっとも高く、一方ぜん息未発症群では健常群とぜん息群の間に位置することが多かった。気管支ぜん息群における検討では、最重症型では軽症持続型に比較して気道炎症マーカーの上昇が認められた。大気汚染と気道炎症病態との関連性では、ぜん息群においては、測定1か月前の平均PM10濃度との間に相関関係が認められた。一方、「潜在的なぜん息発症例」を含むと思われる「未発症群」において、幹線道路までの距離との間に有意ではないが、逆相関の傾向が認められた。

平成22年度

  1. EBC中分子マーカー濃度は、気管支ぜん息群がもっとも高く、一方ぜん息未発症群では健常群とぜん息群の間に位置することが多かった。気管支ぜん息群における検討では、重症度や呼吸機能検査と関連が認められた。
  2. 大気汚染と気道炎症病態との関連性では、ぜん息群においては、測定1年前の平均NOx濃度との間に正の相関関係が認められた。一方、幹線道路までの距離との間には有意な相関は認められなかった。

評価結果

平成21年度

平成21年度評価結果(PDF:99KB)

平成22年度

平成22年度評価結果(PDF:40KB)

平成23年度

平成23年度評価結果(PDF:126KB)

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