ぜん息などの情報館

3-2-4 吸入ステロイド薬服薬指導の実態と効果的な病薬連携、指導プログラムによる長期管理改善に関する調査研究

代表者:森 晶夫

研究の概要・目的

薬物療法の進歩により、近年の喘息診療水準は大いに向上したものの、AIR-J2005の結果等によると、十分な治療水準にある患者の割合は未だ相当に低いことが明らかになっている。現行の薬物治療の効果に限界のある重症・難治性喘息の症例に対しては、新たな治療法の模索が重要課題であるが、適切な治療が提供されれば十分にコントロールされるべき、本来は軽症ないし中等症に属する症例が、コントロール不良な喘息者の大部分を占めている現状からは、現行の治療オプションをいかに効果的に提供していくかも、解決すべき重要課題と考えられる。医療者側には、最も強力な喘息治療薬と位置づけられる吸入ステロイド薬の処方率を向上することが、患者側には、適正な吸入手技、服薬コンプライアンスの向上が求められる。本研究においては、医療者側と患者側を結ぶ吸入指導につき、病薬連携の視点から医師、薬剤師を対象に、マンパワー、指導時間、教材の使用、啓蒙活動の有無、保険点数の受け止められ方等につき調査した。この結果をもとに、限られた時間、人手の範囲内で、より効率的、効果的に吸入ステロイド薬の吸入手技、服薬指導を可能にする教材を作成し、配布する。さらに、その導入効果について、現場で検証することを目標とする。

年度ごとの研究目標(計画)

平成21年度

病院、薬局における吸入指導の実態調査(医師、薬剤師を対象とする)を実施し、 現状の医薬分業体制における吸入ステロイド服薬指導の課題について解析する。その結果を踏まえて、薬剤師を対象とした吸入指導プログラムを開発する。

平成22年度

  1. 昨年度作成した薬剤師のための吸入ステロイド薬指導マニュアルをもとに、成人、小児向け指導パンフレットを作成、配布する。薬剤師の服薬指導の際、パンフレットに沿った吸入指導を実施し、パンフレット使用の有無により、指導効果、効率が向上したか否かにつき調査する。
  2. パンフレット内容の問題点、改善項目を調査し、改訂を行う。
  3. かかりつけ医、かかりつけ薬局及び喘息患者の3者間双方向性の情報共有システムとして、吸入指導チェックシートを考案し、上記の施設を対象に配布する。
  4. 日本アレルギー協会サーバー上JAANETと連携し、かかりつけ薬剤師向けの遠隔教育プログラムを運営する。

3年間の研究成果

平成21年度

病院薬剤師に加えて、チェーン、個人等種々の経営形態の薬局に勤務する薬剤師420名を対象に、吸入ステロイド薬の吸入指導の現状について調査を実施、結果を解析した。医師40名についても外来診療における吸入指導について調査を実施、結果を解析した。吸入ステロイド処方箋に対応する現場の薬剤師向けに、成人喘息患者、小児喘息患者それぞれに対応した吸入指導実践プログラムを作成した。

平成22年度

  1. 「薬剤師のためのわかりやすい吸入ステロイド薬服薬指導」を作成、約200カ所の市中薬局に配布した。また、吸入指導の支援効果の有無についてアンケート調査を実施した。
  2. アレルギー総合情報サイトe-allergyにアップロードするとともに、iPadでは電子書籍としてダウンロード可能とした。
  3. より効率的な病薬連携を確立する観点から、かかりつけ医とかかりつけ薬局、喘息患者の3者間の情報共有システムとして、吸入指導チェックシートを作成し、喘息診療専門施設3カ所に配布した。

評価結果

平成21年度

平成21年度評価結果(PDF:72KB)

平成22年度

平成22年度評価結果(PDF:33KB)

平成23年度

平成23年度評価結果(PDF:108KB)

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