WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.46 2015年9月発行

小児ぜん息 その他のアレルギー現場レポート:食物アレルギーのある子どもたちの修学旅行時の食事対応について

どこへでも安心して旅行できる「夢」実現のために

健康福祉部健康対策課では、主要旅行会社や業界団体、各都道府県の教育委員会および私立学校を所管する部署などに同事業への理解を呼びかける文書を送付するなど、その周知を図っています。

現在、京都府内で122の宿泊施設と21の食事提供施設が、この手順書に基づき特定原材料7品目を除去した食事提供が可能と申し出ていますが注1、「修学旅行先は当然京都府内だけとは限りません。他の都道府県にもこうした取り組みが広がってほしいですね」と中本さんは語ります。

食物アレルギーの子どもたちが修学旅行だけでなく家族旅行でも安心して全国どこへでも行けるようになること――。「京都おこしやす事業」は、そんな大きな「夢」をはらんだ事業といえそうです。

注1
申出施設は府のウェブサイトで公開:食物アレルギーの子 京都おこしやす事業 協力宿泊施設・食事提供施設について

食物アレルギーのある子どもが旅行する際の注意点

監修/伊藤節子 先生

宿泊先やレストラン等に「何のアレルギーか」を伝え、「対応できるかどうか」を事前確認

インスタントの和風、洋風出汁(だし)や調味料の多くには、小麦や乳成分などのアレルゲンが含まれています。その意味でインスタント出汁・調味料を使わず「素材からつくる料理」が多い施設は、きちんと対応してくれる可能性が高いといえます。

ワンポイントたとえば、下のような質問で施設の対応レベルを測ることができます。

対応レベルチェック

食事調理方法は?

対応レベルはチェック項目:1が高く、3が低いです。

  1. チェック項目:1すべて施設内で調理
  2. チェック項目:2一部外部へ依頼
  3. チェック項目:3すべて外部へ依頼
インスタント出汁は?

対応レベルはチェック項目:1が高く、3が低いです。

  1. チェック項目:1使用しない
  2. チェック項目:2使用することがある
  3. チェック項目:3よく使用する
インスタント・合わせ調味料の使用は?

対応レベルはチェック項目:1が高く、3が低いです。

  1. チェック項目:1使用しない
  2. チェック項目:2使用することがある
  3. チェック項目:3よく使用する
特定原材料の確認は?

対応レベルはチェック項目:1が高く、3が低いです。

  1. チェック項目:1必ずさかのぼって確認
  2. チェック項目:2確認しないときもある
  3. チェック項目:3確認しない
原材料の確認システムは?

対応レベルはチェック項目:1が高く、2が低いです。

  1. チェック項目:1確立ずみ
  2. チェック項目:2確立できていない

主治医に出発前に相談

宿泊先やレストランなどの事前対応の答えを医師に伝え、意見を聞きましょう。メニューが入手できたら、それを見せて相談するのも良いでしょう。

ワンポイント

一見、アレルゲンが含まれていないように見えた献立でも、全ての料理にインスタント調味料が使われていた例もありました。インスタント調味料中に含まれるアレルゲンは微量ですが、多量に使用されればアレルゲンの量も当然増えるので、確認が必要です。


飛行機を使う場合は、機内食の対応も事前にチェック

旅行社経由だと返事が遅れることもあります。その時は直接、航空会社に問い合わせましょう。

ワンポイント

主要な航空会社では、特別食(スペシャルミール)としてアレルギー対応食を用意しています。ウェブサイトでも公開している場合もあるので、事前にチェックしてください。


携行食を用意する

施設や航空会社の対応が不十分で食べられない場合に備え、携行食を2食分程度用意しておくと安心です。

ワンポイント

レトルト食品や缶詰など保存の利くものを用意します。
用意するのは、必ず「普段食べているもの」。そうでない場合は、出発前に必ず一度食べ、症状が出ないことを確認しておきます。


緊急時に備える

旅行中は、緊張や疲れなどで体調が崩れがちです。緊急時の備えも万全に。

ワンポイント

エピペン®を処方されている場合は、必ず持参してください。行き先によっては2本用意します。
アナフィラキシー症状が出たら、遠慮せずすぐに周囲に知らせて、エピペン®を打ちます。
また緊急時に対応してくれる医療機関を、必ず調べておきましょう。


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