パート4 食物アレルギーに配慮した離乳食のポイント
食物アレルギーと診断された乳児は、離乳食の食材選びにおいて配慮が必要ですが、そのほかは食物アレルギーのない乳児と同様に、厚生労働省から出された「授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)」(2019年3月策定)(注)をもとに、できるだけ多くの種類の食品を摂取することを目標に離乳食を進めていきます。
以下に示す「進めるうえで知っておきたいポイント」と、「進め方のポイント」を併せて、食物アレルギーに配慮した離乳食の基本ポイントを押さえてください。
(注)厚生労働省:授乳・離乳支援ガイド(2019年改訂版)
進めるうえで知っておきたいポイント
離乳食の開始時期を遅らせる必要はありません
- 離乳食はもともと1品ずつ開始していくのが原則なので、アレルゲンと診断された食物以外を用いて離乳食を進めていきます。
- 「図1 離乳食の進め方の目安」からもわかるように食品の選択肢はたくさんあります。原因食物を除去するというよりも「離乳食の進め方の工夫」で対応できます。
できるだけ多くの種類の食物を摂取しましょう
- 原因食物以外は、できるだけ多くの種類の食品を摂取します。1歳ごろまでに、副食に魚や肉、豆腐をはじめとするいろいろな食材を摂取できていることを目指します。
食物アレルギーと紛らわしい反応に注意しましょう
- 最初に与えたもので口の周りに発赤や湿疹が出ることがありますが、食物アレルギーとは限りません。
- おもゆで症状が出たときには、野菜スープから始めてしばらくたってから、おもゆやおかゆを再開すると症状が出なくなることがほとんどです。
- 紛らわしい反応を防ぐために注意すべきこと
授乳中の母親の食事
- 母乳中に分泌される食物抗原はごく微量です。
その濃度は数十ng/ml(ナノグラム パー ミリリットル)であり、日に1,000ml(ミリリットル、以下「ml」と表記)摂取しても、数十μg(マイクログラム)に過ぎません。
- 母乳が「即時型反応」を起こす場合
- 発赤やかゆみといった軽度の症状が主体で、重くてもせいぜいじんま疹までです。そのため、母親の厳密な食品除去は通常行いません。
- 母乳が「乳児期発症の食物アレルギーの関与するアトピー性皮膚炎」を起こす場合
- 多くは離乳食開始以前に、母乳中に含まれる食物抗原(多くの場合は鶏卵)により発症します。母親の食事からのアレルゲン除去が必要であるかは、経母乳負荷試験により確認します。医師に相談してください。
陽性と診断されたときには母親の食事内容からその食物を除去することが必要です。しかし、母乳中の食物抗原量は微量のため、乳児は比較的早期に耐えられるようになります。数カ月ごとに医師の指導を受けることが大切です。
- 鶏卵
- 加工食品中の鶏卵も含めた除去が必要な場合が大半です。
- 牛乳
- ほとんどの場合、1日総量200mlぐらいであれば分割して摂取可能です。
牛乳摂取によるメリットのほうが除去のメリットを上回ります。
- 小麦
- 大半は、主食として摂取することをやめる程度で十分です。