すこやかライフNo.48 2016年9月発行
美しいフォームで空を飛ぶ、スキージャンプの竹内択選手。
ソチオリンピックのジャンプ団体戦で銅メダルを取った、晴れやかな姿を記憶している人も多いのではないでしょうか。
しかしその裏には、ぜん息や難病との闘いがありました。
そして現在も、ぜん息の治療をしながらオリンピックでの「金メダル獲得」という夢に向かって、毎日トレーニングに励んでいます。
「9年ほど前に果物を食べるとのどがかゆくなるなどの症状が出始め、検査したところ、モモやリンゴ、スギなどのアレルギーだとわかりました。その後、さらに詳しく検査したところ、ぜん息もあると診断されました。でも、症状が重くなかったので、気にしていなかったのです。それから2、3年後に咳が朝晩出るようになりました」と、振り返る竹内選手。さらに症状が悪化したのは、ソチオリンピックを目前に控えた2013年末から14年の初め。
「咳がひどくなって、ちょっとランニングしただけで息苦しくなって。でも『風邪かな?』くらいに思っていました。ところが、オーストリア遠征中に40度の熱が続き、緊急帰国しました」
検査の結果、難病「好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(チャーグ・ストラウス症候群)」と診断された。全身の細い血管に炎症が生じるアレルギー性の病気で、原因はわかっていない。
「オリンピックが1カ月後に迫っていたので、難病への不安よりもメダルへの思いが強くて、医師に『とりあえず、この症状を落ち着かせてほしい』と頼み込みました。入院治療で筋肉が 落ちてしまいましたが、病室でも体力維持に努め、なんとかオリンピックに出場できました」
見事、ノルディックスキー・ジャンプ男子ラージヒル団体戦で銅メダルを獲得し、インタビューに答える竹内選手を、テレビで見た人も多いだろう。
以後、竹内選手は経口ステロイド薬の服用を続けているが、3カ月間、服用をやめたことがある。
「ぜん息の症状がみられなくなったので、今年の春、医師に反対されながらも服薬をやめてみました。そうしたらまた症状が出て、日に日にひどくなり、病院で検査したら好酸球がすごく増えていました」
治療を継続することの大切さを、身をもって感じた竹内選手。現在は朝晩の吸入と服薬を欠かさず行っている。コンディションは良好で、難病の症状も出ていない。
「これから一生、薬を飲み続けなくてはならないかもしれません。でも、医療は発達しているし、先は見えないけど、治ると信じることが大事だと思います」
小学生のときに長野オリンピックでスキージャンプ競技を見て、一気に魅了された竹内選手。そのころからの夢は、オリンピックで金メダルを取ること。中学卒業後は「ライバルと同じ練習をしていても勝てない」と、単身フィンランドへ。3年間現地の学校に通いながら、フィンランド人のコーチのもとで腕を磨いた。
スランプや困難を乗り越えてきた竹内選手が心がけているのは、ストレスをためないこと。
「アレルギー性の病気にはストレスがよくないといわれているので、失敗しても自分を責めずその状況を受け入れ、おおらかな気持ちで過ごすことを心がけています。でも、いちばんのストレス解消法は、買い物とおいしいものを食べることです」
ぜん息や難病を患ったことで、家族や周囲に支えられていることを強く感じるようになったそうだ。家族は竹内選手に合う健康法を調べてくれる。
スキージャンプは、瞬発力やバランス感覚、フォームの美しさなど多くの要素が求められる競技。日々、心と体を鍛えている竹内選手の目標は、2018年の平昌オリンピックでメダルを取ること。
「ソチのときはチームのみんなに引っ張ってもらったのですが、次は自分がチームを引っ張りながら、団体・個人戦共に金メダルを取りたいです」
写真/ VI Images/ アフロ
「ぼくもぜん息をもっていて、治療をしながらスキージャンプ選手として活動しています。目標に向かって生活することが、ぜん息の克服につながるかもしれないので、治ると信じて、夢を追い続けていってほしいです。ぼくも平昌オリンピックでメダルを取れるよう練習を続けていくので、一緒にがんばりましょう!」
「ぼくもぜんそくをもっていて、ちりょうをしながらスキージャンプせんしゅとしてかつどうしています。もくひょうにむかってせいかつすることが、ぜんそくのこくふくにつながるかもしれないので、なおるとしんじて、ゆめをおいつづけていってほしいです。ぼくもピョンチャンオリンピックでメダルをとれるようれんしゅうをつづけていくので、いっしょにがんばりましょう!」
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