
すこやかライフNo.49 2017年3月発行
現場レポート:大阪狭山市の学校給食における食物アレルギー対応
ここで改めて確認すると、除去食対応の対象は「給食センターで調理している副食」で、かつ「5種類9品目」です。
したがって、除去食対応を受けている児童生徒でも、業者から仕入れる加工食品を使用した副食や主食を食べさせるかさせないかの判断は、保護者に委ねられます。また原因食物が「5種類9品目」以外の食物アレルギー児の場合は、主食、副食のすべてについて保護者の判断によることになります。
その判断材料として、給食センターでは、詳細な献立表と「成分分析表」による情報開示を、可能な限り徹底して行っています。
全校児童生徒に配付される献立表には、毎日の献立に使われるすべての食品名とその数量が記載されています。
成分分析表は、「年間用」と「各月用」の2種類あり、いずれも学校を通じて希望する保護者に配付されています。年1回、毎年4月末に配付される年間用には、5月から翌年4月の間、途中で変更せずに使用する食品の原材料の詳細が記載されています。調味料、ふりかけ、小麦以外の副資材を含むパンの材料とその配合割合などです。該当月の前月末に配付される各月用には、毎月、入札で仕入れ先が変わる加工食品やデザート、調味料などの原材料に関する情報が記載されています。その月の「除去食日程表」と「除去食の内容」も添付されます。
(献立の拡大図)
業者から仕入れる加工食品、たとえば春巻きなどは、仕入れ先により原材料が変わります。保護者は、その変更を忠実に反映した各月用の成分分析表の記載を踏まえ、食べさせるか食べさせないかを判断できます。また年間用の成分分析表には、仕入れているパンに脱脂粉乳が含まれていることも明記されているため、乳アレルギーの児童生徒の保護者は、前もってそのことを知り、「停止」を申請することができます。注1
ちなみに同市の学校給食では、カレー等のとろみ付けに、小麦粉のかわりに米粉を使ったり、牛乳ではなく豆乳を使ったクリームスープが提供されたりする日もあります。これは「一つの料理でも、多彩な材料を使ってできること」を教えるという食育的観点からの措置で、食物アレルギー対応を意図したものではありません。しかし、該当する食物アレルギーのある児童生徒の保護者にとっては、献立表と成分分析表をチェックすることで、食べられる献立を増やせる可能性も出てきます。