
すこやかライフNo.53 2019年3月発行
本誌に寄せられているぜん息&COPDに関するさまざまな悩みや疑問に、編集委員の先生方がわかりやすくお答えします。
読者Q&Aコーナーの質問は、アンケートフォームから(読者アンケートや定期購読申込・その他応募フォーム)診断基準によると、①体重減少 ②主観的な疲労感 ③日常生活の活動量の低下 ④身体能力(歩行速度)の減弱 ⑤筋力(握力)の低下 のうち、3項目に当てはまれば、フレイルの状態と考えられます。
それでは、COPD患者さんはどうでしょう?フレイルの前段階として、加齢とともに筋力が衰え活動性が低下する「サルコぺニア」という状態があります。このサルコぺニアの状態から、生活機能全般が衰えるとフレイルに移行していきます。COPD患者さんの中には、筋肉量や筋力の低下が認められ、活動量が低下している方が多く、COPD患者さんの15%にサルコぺニアを合併しているという報告があります(注)。また、フレイルと関連する低体重も、COPD患者さんにとって大きな問題です。
このように、COPD患者さんはサルコペニアやフレイルになりやすいため、対策が必要です。
一般的なフレイル対策としては、バランスのとれた食事、適度な運動、口腔ケアが重要といわれています。COPD患者さんの場合、適切な薬物療法を行い、たんぱく質を多く含む食事をとり、運動リハビリで運動能力を高めて、日常生活の活動量を高めることが、サルコペニアやフレイルの予防、治療につながります。また、一部の漢方薬にも効果が認められています。
フレイルになりやすいCOPD患者さんは、ひどくなる前に対策をとることが大切です。心配な方は一度、主治医の先生にご相談ください。
亀田京橋クリニック 副院長 金子教宏先生
「電子たばこ」と「加熱式たばこ」はよく混同して使われているので、まず違いを確認しましょう。電子たばこは、乾燥したたばこの葉や液体を熱し霧状に発生させるものをいいます。日本では、ニコチンを含む電子たばこの販売は薬事法で禁止されています。一方、加熱式たばこは、皆さんがよく見聞きするIQOS®(アイコス)やプルームテック®、glo®(グロー)を指します。加熱式たばこは、たばこの葉を蒸すような状態にするため、タールや一酸化炭素の排出が少なく健康への悪影響は少ない、とたばこ会社は宣伝しています。しかし、これらの報告のほとんどは、たばこ会社が出資した研究に基づくものであり、信頼できる研究は存在していません。確かに紙巻きたばこに比べて有害物質の量は少ないものの、それでも十分に有害性があります。米国のFDA(アメリカ食品医薬品局)は、「通常のたばこ製品と比較して、リスク低減の可能性がある製品である」というたばこ会社の主張を棄却しています。米国ではアイコス®の販売は認められていません。
日本でも、日本禁煙学会は、加熱式たばこについて「普通のたばこと同様に危険であり、受動喫煙で危害を与えることも同様である」と警告しています。日本呼吸器学会も、加熱式たばこの使用は「健康に悪影響をもたらす可能性がある」「使用者が吐き出したエアロゾールは周囲に拡散するため、受動吸引による健康被害が生じる可能性がある」として、受動喫煙の被害も紙巻きたばこと同様であるとの見解を出しています。また、加熱式たばこの主流煙(喫煙者が吸い込む煙)には、紙巻きたばこと同程度の有害物質が含まれ、殺虫剤の原料とされているアセナフテンという物質は、紙巻きたばこの約3倍も含まれていると報告しています。さらに、副流煙(たばこから出る煙)中のニッケルやクロムなどの有害な重金属は紙巻きたばこよりも高く、ニコチン、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒドなどの有害物質は紙巻きたばこと比較して低い濃度ですが、ニコチンは大気中の10~115倍も高いと報告しています。ほかにも、加熱式たばこは紙巻きたばこと同様に、血管に障害をきたすという報告もあります。
まとめると、加熱式たばこは有害物質は減っていますが、危険性が減っているわけではありません。健康への害が少ないように見えますが、それは間違いであり、現時点では受動喫煙も含めて、紙巻きたばこと同様の健康被害をきたすおそれがあるといえます。
亀田京橋クリニック 副院長 金子教宏先生
読者の皆様から寄せられた、うれしかったこと、楽しかったこと、大変だったこと、困っていること、失敗談など、ぜん息やCOPDの治療中に身の回りで起こったさまざまなできごとをご紹介します。
エピソードの応募は、アンケートフォームから(読者アンケートや定期購読申込・その他応募フォーム)7歳の娘は5歳の秋に大きな発作で入院し、ぜん息と診断されました。
その後2年間、服薬を継続して水泳も始め、幸いなことに症状は治まっていますが、季節の変わり目にはかぜをひきやすいので注意しています。引き続き、服薬をがんばっていこうと思っています。
30代からずっとぜん息でした。あまり動くことが好きではありませんでしたが、80歳になって散歩を始めたところ、ぜん息の症状がよくなってきたように思います。
これからも毎日の散歩を欠かさずに続けていきたいです。
ぜん息・COPD治療・管理のために行っている「工夫」をぜひ、教えてください。
わたしの工夫の投稿は、アンケートフォームから(読者アンケートや定期購読申込・その他応募フォーム)忘れないように、吸入ステロイド薬を食前に吸入しています。お茶を飲みながら食事をするので、声がかれやすくなるのを防ぐ効果もあると思っています。
ぜん息のほかに花粉症もあるので、花粉の季節には布団を外に干さないようにしています。これだけで、ぜん息の発作が減った気がしています。
毎日歩いたり、自転車に乗ったりして動くことを心がけています。薬を続けて動くことで、息苦しさが軽くなっているように思います。
わたしの工夫を応募する(読者アンケートや定期購読申込・その他応募フォーム)
(注)投稿いただいた内容のすべてが、WEB上に掲載されるわけではありません。あらかじめご了承ください。