大気環境の情報館

揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制対策

浮遊粒子状物質(SPM)及び光化学オキシダントについて深刻な大気汚染が続いていたため、これらの原因物質のひとつである揮発性有機化合物(VOC)の工場・事業場からの排出を抑制する内容の「大気汚染防止法の一部を改正する法律」が2004(平成16)年5月に成立しています。

光化学オキシダントは、窒素酸化物(NOx)とVOCが混合している状態で太陽からの紫外線を受けて化学反応により生成されるものです。原因物質のひとつである窒素酸化物に対しては、工場・事業場と自動車の双方に厳しい規制が課せられてきました。VOCに対しては、自動車排出ガスについては1974(昭和49)年以来、VOCの主成分である炭化水素について排出規制を実施し数次にわたって規制強化を行ってきました。しかしながら、工場・事業場に対しては全国的な排出規制が行われていませんでした。また、SPMについては、環境省の試算によると約1割が工場・事業場から排出されるVOCから生成されていると推計され、SPMによる大気汚染の改善にもVOCの排出抑制が必要と考えられていました。

大気汚染防止法に盛込まれた抑制対策の内容は、下記のとおりです。
(1)法規制と事業者の自主的な取組とを適切に組合せて(ベスト・ミックス)効果的にVOC排出を抑制していくという考え方を法律に位置づけました。
(2)法規制の対象となる施設は、VOC排出量の多い次の6施設とされました。

  • 塗装施設及び塗装後の乾燥・焼付施設
  • 化学製品製造における乾燥施設
  • 工業用洗浄施設及び洗浄後の乾燥施設
  • 印刷施設及び印刷後の乾燥・焼付施設
  • VOC(ガソリン等)の貯蔵施設
  • 接着剤使用施設及び使用後の乾燥・焼付施設

この制度による取組の結果、全国の工場・事業場からのVOC排出量の推計値は、2000(平成12)年度の約140万トン/年から2009(平成21)年度の約82万トン/年へと大幅に減少してきています。 (環境省:平成22年度有機性化合物(VOC)インベントリ検討会より)

このページの先頭へ