大気環境の情報館

環境省の発足と大気汚染対策(2001年~平成13年以降)

2001年1月6日、中央省庁再編に伴い、環境省が新たに発足しました。環境省では、政府全体の環境政策の企画立案をはじめ、これまで環境庁が行ってきた仕事を引き継ぐことに加え、廃棄物リサイクル対策を一元的に行うことになりました。それに伴い、大気汚染等の公害を防止するための規制、監視測定、公害健康被害者の補償等の仕事は環境省が一元的に担当していくことになり、化学物質の審査・PRTR・製造規制、地球温暖化対策、オゾン層保護等の仕事は環境省が他の府省と共同で担当していくことになりました。

(1)公害健康被害補償予防制度等の推進
 環境省においては、引き続き公害健康被害者の救済に万全を期すとともに、健康被害を予防するための施策の着実な推進を図っていくことになりました。また2006(平成18)年には、「石綿健康被害救済法」が制定され、労災補償の対象とならない石綿健康被害者に対する救済制度が確立されています。
 有害大気汚染物質については、2001(平成13)年度から実施された「PRTR法」、1999(平成11)年に制定された「ダイオキシン類対策特別措置法」等に基づき、様々な施策が実施されてきました。また、2001(平成13)年にジクロロメタンの大気環境基準が設定され、さらに、2003(平成15)年、2006(平成18)年の二度にわたってアクリロニトリル塩化ビニルモノマーなど計7物質について指針値の設定が行われています。

(2)自動車排出ガス総合対策等の推進
 2000年代にはいってからも、大都市圏における自動車排出ガスによる大気汚染は依然として改善の傾向が見えず、環境基準達成状況が低い水準で推移していました。このため主要な発生源であるディーゼル自動車からの排出ガス対策を随時強化していきました。
まず、2000(平成12)年11月の中央環境審議会第四次答申「今後の自動車排出ガス低減対策のあり方について」では、第三次答申で2007(平成19)年を目途とされたいわゆる新長期規制を2年前倒しし、2005(平成17)年までに新車の排出ガス規制値を強化するとともに、燃料である軽油に含まれる硫黄分の許容限度目標値を2004(平成16)年度末までに500ppmから50ppmに低減することが示されました。
2001(平成13)年には、自動車NOx法が改正され自動車NOx・PM法としてスタートしましたが、2007(平成19)年には更に改正強化されています。
2005(平成17)年には、それまで規制の対象になっていなかったフォークリフト、ブルドーザ、農業用コンバインなどの公道を走らない自動車に対しても排出ガス規制を行う「特定特殊自動車排出ガスの規制等に関する法律」(いわゆるオフロード法)が制定されました。
2009(平成21)年には、健康影響が懸念されていたディーゼル排気微粒子の対策として、PM2.5(微小粒子状物質)の環境基準が設定されています。

(3)地球温暖化対策等の推進
 地球温暖化については、気候変動に関する国際連合枠組条約第3回締約国会議(地球温暖化防止京都会議)で合意したわが国の削減目標を確実に達成するため、法律や税制による取組も含め、種々の対策が進められてきました。2010(平成22)年には高い削減目標を掲げそれを達成するための施策体系を明示した「地球温暖化対策基本法案」が閣議決定され、国会へ提出されました。
 このほか、光化学オキシダント、浮遊粒子状物質対策として、工場・事業場に対する揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制を盛込んだ大気汚染防止法の一部改正が2004(平成16)年に行われています。

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