大気環境の情報館

微小粒子状物質(PM2.5)の環境基準設定

従来から大気中に漂う粒径10μm以下の粒子を「浮遊粒子状物質」として大気汚染対策を進めてきていましたが、その中で2.5μm以下の小さなものを微小粒子状物質と呼んでいます。この微小粒子状物質は粒径がより小さくなるので肺の奥まで到達し、ぜん息、気管支炎、せきやぜん鳴などの症状、不整脈、心臓発作、肺がんなどの健康影響が懸念されていましたが、2009(平成21)年の中央環境審議会微小粒子状物質環境基準専門委員会報告では、「疫学知見に基づく微小粒子状物質への暴露と健康影響との関連性については、共存大気汚染物質の影響等、多くの不確実性が存在すると考えられるものの、信頼性の高い研究に着目すると、微小粒子状物質への短期曝露及び長期曝露と循環器・呼吸器疾患死亡、肺がん死亡との関連に関する疫学的証拠には一貫性が見られることから、これらの健康影響の原因の一つとなりうると考えられる。」と評価されています。

そこで、2009(平成21)年9月に「微小粒子状物質に係る環境基準について」環境省から告示されました。 ここでは、環境基準値は、1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下であることとされています。またあわせて、微小粒子状物質とは、大気中に浮遊する粒子状物質であって、粒径が2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子をいうと定義されています。 微小粒子状物質の発生源は、一次生成粒子、二次生成粒子、人為発生源、自然由来の粒子、海外からの移流など多岐にわたり大気中の挙動も複雑です。このため当面の取組としては、排出状況の把握、排出インベントリの作成、大気中の挙動や二次生成機構の解明等の科学的知見の集積が求められており、また、近隣諸国との協力の必要性も指摘されています。

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