大気環境の情報館

固定発生源対策

私達が社会活動を行なうことによって発生する大気汚染物質の発生源には、工場、事業場などの固定発生源と自動車、航空機などの移動発生源があります。

固定発生源については、ボイラーなどのばい煙発生施設、コークス炉などの粉じん発生施設から発生する大気汚染物質を除去するために次のような技術が開発されています。

集じん
気体中に浮遊する粒子を分離・除去する技術
排煙脱硫
排ガス中の硫黄酸化物(SOx)を除去する技術
重油脱硫
重油中の硫黄分を除去する技術
排煙脱硝
排ガス中の窒素酸化物(NOx)を除去する技術

排煙脱硫装置は、1970(昭和45)年から実用装置が設置され、その後設置基数及び処理能力ともに増大し、2002(平成14)年末時点での排煙硫装置設置基数は約2,077基、総処理能力は約209百万㎥N/hとなりました。

排煙脱硫の方式には、湿式と乾式に大別され、湿式はアルカリなどの水溶液を吸収剤としてSOxを吸収させる方式です。乾式は固体状の石灰石または活性炭などにSOxを吸着または吸収させる方式です。我が国では湿式が主流となっています。

一方、排煙脱硝装置も、設置基数及び処理能力は着実に増加しており、2002(平成14)年末時点での排煙脱硝装置設置数は約1,765基となり、総処理能力は380百万㎥N/hとなりました。脱硝方式としては乾式と湿式がありますが、アンモニアや尿素を反応剤として使用する乾式選択接触還元法が主流となっています。

集じんとは、気体中の粒子を分離・除去する操作をいいます。集じんの対象となるものには、燃焼過程から発生するばいじんのほか、粉砕等から発生する粉じんがあります。(それらは一般的に「ダスト」と総称されます。)
 集じん装置は、気流中に含まれるダストを分離する装置です。重力、慣性力、拡散力、熱力、電気力などを利用しており、これらの捕集機構によって重力集じん装置、遠心力集じん装置、洗浄集じん装置、ろ過集じん装置、電気集じん装置などに分類されます。各種集じん装置について、粒子に作用する分離のための主な力を挙げると次の表のようになります。一つの機種に複数の作用力が同時に活用されているので、主な作用力を◎印で示してあります。
 火力発電所をはじめ大規模施設では電気集じん装置が活用され、小型の発生源施設ではろ過集じん装置が広く用いられています。
 集じん装置の分類として、液滴又は液膜を用いて気体中の粒子を直接濡らして捕集するもの、あるいは気流中から分離した粒子を水その他の液体によって濡らす構造をとるものを、湿式集じん装置と呼んでいます。一方、水または液体を用いないで粒子を捕集するものを乾式と呼びます。

集じん装置の分類と集じん作用力

装置名/集じん力 重力 慣性力 遠心力 熱泳導力 拡散 静電気力
重力集じん装置          
慣性力集じん装置      
遠心力集じん装置    
洗浄集じん装置  
ろ過集じん装置    
電気集じん装置    

注)◎及び○印は主に利用する集じん作用力、△印は凝集効果を図る場合に利用する。
出典:「公害防止の技術と法規 大気編」(産業環境管理協会)

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