ぜん息などの情報館

Q3 タンの色が黄味を帯びてきたのですが、何か問題はありますか?

A1
気道には粘液を分泌する細胞(杯細胞)があり、分泌された粘液が気道の乾燥を防いでいます。また、吸い込んだ空気には、ほこりや微生物が含まれており、粘液はこれらをとらえて気道の奥に侵入することも防いでいます。粘液の分泌が増えたり粘稠度が増すと、空気の通り道である気道にたまり、せきをするとタンとして喀出されます。タンが気道をふさぐと空気の流れが悪くなり息苦しさや違和感を感じることがあります。
一方で、タンは肺のさまざまな細胞や吸い込んだ微生物を含んでおり、気道や肺の状態を知る上で大切な情報を与えてくれます。通常、タンは白く透明で、気管支ぜん息の患者さんでは、「白く粘り気のあるタンが増えた」という症状を訴えることがあります。気道の杯細胞が増えて粘液の分泌が多くなっていることが考えられます。タンの色が黄味を帯びるのは、白血球の中の好中球に多量に含まれるペルオキシダーゼと呼ばれる酵素の色調のためです。好中球は炎症の過程で最初に動員される細胞で、その原因として最も頻度が高いのは感染です。したがって「タンの色が黄味を帯びてきた」ということは「気道感染」を合併した可能性があるのです。これを放置すると息苦しさが強くなったり、肺炎にまで進行して入院しなければならなくなる危険性があります。慢性の呼吸器疾患の患者さんにとっては、病状が悪化する危険な前兆として大切な所見です。早めにかかりつけ医の診察を受けて、抗生物質の内服治療を行ってください。ふだんからご自分のタンの量や色調を観察することで、病状の悪化を未然に防ぐことができるのです。
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