WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.44 2014年10月発行

COPD医療トピックス:進歩するCOPD治療を知る

これまでのCOPD治療の変遷

COPD治療の変遷 1990年代 COPDは治療が難しい病気 COPDにはよく効く薬がない 2000年代 COPDは予防可能で治療可能な病気2004年 スピリーバ®(LAMA)登場 2010年代 COPDは全身の疾患に影響するため、肺だけでなく全身をみることが必要 2011年オンブレス®(LABA)登場 2012年シーブリ®(LAMA)登場 2013年以降 LAMAとLABAの合剤が登場

この10年間でCOPD治療は飛躍的な進歩を遂げています。

2004年にLAMAの「スピリーバ®」が発売され、薬物療法の中心になりました。その後、「シーブリ®」というLAMAが発売されたことにより、薬剤選択の幅が広がりました。

さらに、LAMAに匹敵する治療効果が見込めるLABA「オンブレス®」の登場により、薬物療法の考え方が変わってきました。それまではLAMAが第一選択薬でしたが、2013年に日本呼吸器学会が発行した「COPD診断と治療のためのガイドライン第4版」では、LAMAもしくはLABAどちらかを薬物治療の第一選択とすることが明記されました。

このような進歩により、医師は患者さんの症状や薬に対する反応を確認しながら、複数ある薬の中から患者さんにあったものを選択できるようになり、治療が難しいとされてきたCOPDが、今では治療可能な病気となっています。

新しいCOPD治療薬LAMA+LABAの合剤が登場

LAMAとLABAの合剤「ウルティブロ®」2013年発売 「アノーロ®」2014年発売そして最近登場したのが、LAMAとLABA、2種類の気管支拡張薬をひとつにした合剤(商品名:ウルティブロ®、アノーロ®)です。

これまで、ある程度症状の進行が見られる患者さんにはLAMAとLABA、2種類の薬が処方されていました。この場合、それぞれ異なる吸入器を使用しなければならず、操作が煩雑になり吸入が面倒になってしまうことが多々ありました。

新しく発売されたLAMAとLABAの合剤は、1種類の薬を1日1回吸入すれば効果を発揮するため、吸入操作も1回で済みます。そのため、患者さんにとっては手間が減り、定期的な吸入が楽にできるようになりました。医師の指示どおりに正しく吸入を続けられることで、薬の効果を最大限に得ることができ、生活の質がさらに向上すると考えられます。2つの吸入器を使っての吸入が大変なときなど、医師に相談してみるのもよいでしょう。

ただし、どんなよい薬があっても正しく吸入できていなければ、効果があがりません。また、最初は正しく吸入できていても慣れなどによって次第に自己流になってしまい、正しい吸入ができなくなってしまっていることもあります(注)。正しく薬を吸入できているか、定期的に医師や看護師、薬剤師に確認してもらうとよいでしょう。

(注) 正しい吸入のしかたについては、すこやかライフ41号の特集をご参照ください。

長時間作用性抗コリン薬(LAMA)+長時間作用性β2刺激薬(LABA)、2つが1つになると吸入操作が楽になり治療効果があがる!生活の質も向上!


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