ぜん息治療の主役は患者さん(保護者の方)です。医師と相談しながら、主体的に治療(悪化因子の対策、薬物療法、体力作り)を続けていくことを、ぜん息の「自己管理」と言います。良い自己管理は、必ず良い結果(治療目標の達成)につながります。
ぜん息は、気道に炎症があるため様々な悪化因子に対して敏感に反応して気道が狭くなる病気です。炎症が続いたままでは、何度も発作を起こしてしまいます。またぜん息発作によりときに死ぬこともあるという認識をもち、積極的に治療に取り組みましょう。
ぜん息治療において大切なことは、気道の炎症を鎮めるための長期管理薬を続けることです。気管支拡張薬だけを使ってその場しのぎの治療をしたり、“発作がないからもうやめてもいいだろう”と自己判断で長期管理薬をやめてしまってはぜん息は治りません。
ぜん息発作は、気道の炎症に悪化因子が加わって起こります。気道の炎症を薬で鎮めようとしても周りの環境に悪化因子がたくさんあっては発作をくり返しますし、長期管理薬を減らすこともできません。 禁煙、ダニ対策など、悪化因子を減らす対策に家族みんなで取り組むことが大切です。
ぜん息の状態を知ることで、何をきっかけにぜん息が悪くなるのかを把握したり、症状の変化の特徴を知ることで発作に早めに気づけるようになります。客観的に判断するためのツールとして毎日のぜん息の状態とそのときの体調や天気などを記録するぜん息日記や、自宅で使用できる呼吸機能検査機器(ピークフローメーター)があります。
ぜん息日記をつけましょう
ぜん息日記は毎日のぜん息の状態と、症状、日常生活の状況、薬の使用状況、天候、ピークフローの値などを記録するものです。日記をつけることで、何をきっかけにぜん息が悪くなるのか、どの薬をどれくらい使えば調子が良くなるのかなどを把握しやすくなります。またピークフローの値を一緒に記録しておくと、そのときの呼吸機能を知ることができ、発作に早めに気がつくことができます。医師との情報の共有にも役立ちますので受診の際は持って行くようにしましょう。
ピークフローの値を測ってみましょう
ピークフローメーターは自宅で使用できる呼吸機能検査機器で小学校入学前後の年齢から簡単に使用可能です。ピークフローの値が普段よりも下がったら、発作のサインと考えて良いでしょう、それがわかれば早めの対処が可能になります。
毎日記録しているとコントロールの状態が見た目でわかるようになります。測定値が安定していれば、コントロール良好な状態と言えます。測定値が不安定な状態が続いていれば、治療が不十分な可能性があり、治療の見直しが必要になります。
毎日記録し続けていると、その子どものいちばん良い値(自己最良値)がわかるようになります。発作のときに自己最良値からどれくらい下がっているかによって、発作の程度の目安になります。アクションプランを作成するときに役立ちます。
発作が起きたときや、ピークフローの値や症状の経過からぜん息のコントロールの状態が悪いと判断したときの対応の方法(アクションプラン)をあらかじめ決めておくと良いです。目安となるピークフローの値や症状の程度ごとの、具体的な発作止めの使い方や受診タイミングについてかかりつけの医師と相談しておきましょう。
アクションプランを活用しましょう
風邪をひいたり天候などによりぜん息の調子が悪いときや発作が起こったときの対応を医師と相談しあらかじめ決めておきましょう。PDFをダウンロードし、印刷してお使いください。
ぜん息の治療では、発作がないときでも気道の炎症を抑える治療を長期間根気よく続けていく必要があります。そのために、適切な治療、日常のアドバイス、発作時の対処法などについて、日頃から相談できるかかりつけ医を持つことは非常に大切なことです。現在は、専門医でなくても標準的な治療を受けられるように、ぜん息の治療・管理のためのガイドラインが作成されています。専門的な検査が必要な場合や、ガイドライン通りの治療をしていてもうまくいかないときは専門医にかかる必要があります。その場合も、かかりつけ医にこれまでの経過などを紹介状に書いてもらうとより適切な治療が期待できるでしょう。
受診のときに伝えましょう
ぜん息の治療は、その子どもの重症度に応じて進められるため、できるだけ正しく重症度を判定することが重要です。次に述べられていることをできるだけ詳しく医師に伝えるようにしましょう。メモにまとめて持参すると良いでしょう。
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