吸入ステロイド薬などが普及し、ぜん息発作を起こさずに日常生活を送ることが比較的、容易になってきました。しかし、発作が起こる原因は人によってさまざまです。気道の良い状態を保ち、発作を予防するためには、薬だけに頼るのではなく、日常生活の中に潜む発作が起こる原因や悪化因子への対策を立てることがとても重要です。
タバコの煙は、ぜん息発作の原因となります。これは、喫煙者本人だけではなく、受動喫煙でも同様です。タバコの煙はぜん息の治療薬の効果を減弱させることもわかっています。室内での喫煙は絶対に避けるべきです。目の前で吸わないようにしても、吸わない家族からもタバコの煙の成分が検出されます。喫煙者本人のためにも家族のためにも、ぜひ禁煙するようにしましょう。
花火や線香の煙を吸ってゼーゼーしたり、キャンプファイヤーやバーベキューなどの煙を吸い込んで苦しくなって咳き込むことがあります。キャンプファイヤーや花火をするときは、できるだけ風上にいるようにしたり、口元をタオルで覆うなど煙を吸い込まないよう工夫をしましょう。
ダニの中でも特にチリダニへの対策が大切です。チリダニの死骸やフンは、多くのぜん息患者さんのアレルゲンになっています。チリダニは人の垢やフケ、食べこぼしなどをエサとしていて、室温20℃以上、湿度60%以上だと繁殖しやすい特徴を持っています。ダニ対策の基本は掃除機がけと布団の管理です。掃除機をこまめにかけることで、ダニを減らすだけでなくダニのエサ(人の垢やフケ、食べこぼし)を減らしダニの繁殖を防ぐことができます。また湿度を高くしすぎないようにすることも大切です。ダニ対策には部屋の掃除だけでは不十分で寝具の手入れも重要です。寝具はダニの増殖に必要な条件がすべてそろう上に、過ごす時間が長いためしっかり対策をしましょう。
イヌやネコなどのアレルギーはいつからでも発症することがあります。飼い始めたときには症状がなかったとしても数年後から発症することがあります。そのため基本的には毛のあるペットの飼育はおすすめできません。ペットにより症状が悪化している場合、ペットアレルゲンへの接触をなくす必要があります。またペットが悪化因子の場合に症状を薬でコントロールすることが困難なこともあります。症状が出てきた後に手放すのは簡単なことではありません。そのことを十分に考えてから飼い始めることを決める必要があります。
アレルギー性鼻炎や副鼻腔炎があると、ぜん息が悪化しやすく治りにくいといわれています。鼻汁、くしゃみ、鼻づまりがあるときは医師に相談しましょう。これらの合併がある場合は、ぜん息の治療と同時に鼻の治療も進める必要があります。
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