ぜん息などの情報館

セルフマネジメント② 禁煙

最も重要な治療は禁煙

COPDになる最大の原因は喫煙です。既にCOPDになっていても、たばこをやめれば、その後の肺機能の低下はたばこを吸わない人とほぼ同じになるとされています。禁煙はCOPDの治療では最も重要で、完全な禁煙が必要です。

非喫煙者とCOPD患者の経年的な1秒量の低下と、禁煙後の肺機能の変化

非喫煙者とCOPD患者の経年的な1秒量の低下と、禁煙後の肺機能の変化

健康保険の適用

喫煙習慣は治療の対象となる薬物依存症の一つなので、医療機関で治療を受けることができ、次の4つの条件にすべて当てはまれば、禁煙治療に健康保険が適用されます※。

条件

  1. 現在たばこを吸っていて、ただちに禁煙しようと考えている。
  2. ニコチン依存症のテスト(右ページ参照)の結果が5点以上。
  3. 1日平均喫煙本数×喫煙年数が200 以上。
    例:1 日平均20 本のたばこを30 年以吸っている人の場合は、20 本× 30 年=600 となります。
  4. 禁煙治療を開始する際に、医療機関で禁煙治療の同意書に同意できる。

※過去に禁煙治療で健康保険の適用を受けた方は、前回の初診日から1年経過しないうちは自由診療となります。


禁煙補助薬の活用

たばこをやめたいのに、やめられないのは、喫煙が単なる嗜好ではなく「ニコチン依存症」という薬物依存症になっているからです。
自力で禁煙できない場合は、ニコチンの離脱症状を和らげる禁煙補助薬を利用するのが効果的です。

ニコチンパッチとニコチンガム ニコチンパッチとニコチンガム
どちらもニコチンが含まれているニコチン製剤。ガムやパッチによって、ニコチンをある程度補い、離脱症状を和らげる。徐々にニコチンの量を減らし、最後には使用を中止する。

バレニクリン(内服薬) バレニクリン(内服薬)
脳内のニコチン受容体に結合し、喫煙によって入ってきたニコチンが受容体に結合するのを防げ、喫煙による満足度を得られないようにする。医師の処方が必要。

自分のニコチン依存度を知ろう
以下の質問でニコチン依存度が簡単にわかります。合計が5点以上の場合は、ニコチン依存症と診断されます。

ニコチン依存症テスト(TDS)
設問内容 はい
(1点)
いいえ
(0点)
問①自分が吸うつもりよりも、ずっと多くタバコを吸ってしまうことがありましたか。    
問② 禁煙や本数を減らそうと試みて、できなかったことがありましたか。    
問③ 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、タバコがほしくてほしくてたまらなくなることがありましたか。    
問④ 禁煙したり本数を減らそうとしたときに、次のどれかがありましたか。(イライラ、神経質、落ちつかない、集中しにくい、ゆううつ、頭痛、眠気、胃のむかつき、脈が遅い、手のふるえ、食欲または体重増加)    
問⑤ 問4でうかがった症状を消すために、またたばこを吸い始めることがありましたか。    
問⑥ 重い病気にかかったときに、タバコはよくないとわかっているのに吸うことがありましたか。    
問⑦ タバコのために自分に健康問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。    
問⑧ タバコのために自分に精神的問題が起きているとわかっていても、吸うことがありましたか。    
問⑨ 自分はタバコに依存していると感じることがありましたか。    
問⑩ タバコが吸えないような仕事やつきあいを避けることが何度かありましたか。    
合計

日本循環器学会・日本肺癌学会・日本癌学会・日本呼吸器学会「禁煙治療のための標準手順書 第5版」


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