ぜん息などの情報館

Q8 パルスオキシメーターを使っていますが、じつは何を測っているのかよく知りません。わかりやすく教えてください。

A1
パルスオキシメーターは、皮膚の表面から動脈血液の酸素飽和度(SpO2)を測定するためのモニター機器として、1974年に日本で開発されました。それまでは、動脈血を採血して酸素分圧を測定しなければなりませんでしたので、患者さんの負担は少なくなり、医療者も簡単に測定できるので、またたく間に普及しました。
測定の原理ですが、酸素と結合した酸化ヘモグロビン(HbO2)は赤外光(波長940nm) をよく吸収し、酸素を失った還元ヘモグロビン(Hb)は赤色光(波長660nm)をよく吸収するという特性の違いを利用して、2つのヘモグロビンの比率を求めて酸素飽和度を測定しています。正常値は97%から100%です。呼吸不全の定義である動脈血酸素分圧60Torrは、パルスオキシメーターでのSpO2 90%に相当します。したがって、在宅酸素療法を必要とする呼吸不全の患者さんでは、安静時では95%以上、労作時では90%を維持する酸素量が処方されます。これはあくまでめやすですので、間質性肺炎のように労作時にSpO2が80%台まで下がる場合には、目標のSpO2を少し低めにすることもありますので、主治医の先生から目標とするSpO2 の説明をよく受けてください。
このように便利なパルスオキシメーターにも弱点があります。指の血流の影響を受けやすいため、指先が冷たいときには正確に測定できません。指を温めたり、他の指につけかえてみてください。また、同時に脈拍も測定しています。SpO2の変化がわずかでも、いつもより脈拍が多いときには心臓への負荷が高まっている可能性があるので注意しましょう。ちなみにわたしは、診察時に脈拍の変化(動いた後、高まった脈拍が正常に戻るまでの時間)に注意を払い、患者さんの病状を判断するようにしています。
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