WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.43 2014年3月発行

小児ぜん息 アレルギー子どものアトピー性皮膚炎のための体の洗い方、外用薬・保湿剤の塗り方実践法

その2 外用薬や保湿剤の塗り方のコツ

※外用薬や保湿剤それぞれをどの部位に、どれくらい塗ればよいかは、主治医の指示に従います。指示がわかりづらい場合や、指示がない場合は、質問してきちんと確認をしておきましょう。お風呂で顔や体を洗って皮膚を清潔にしたら、すぐに外用薬や保湿剤を塗ります。

アトピー性皮膚炎では、皮膚の炎症を抑える外用薬、皮膚を乾燥から守る保湿剤が処方されます。軟膏タイプやクリームタイプ、いずれも塗り方は同じです。(詳しくは基礎用語をご覧ください)

効果を最大限に発揮させる塗り方のコツを覚えましょう。


軟膏を塗るときのポイント

1.塗る人の手をきれいに洗う

イラスト不潔なままだと、手についている細菌や刺激物が体についてしまうことがあります。

2.入浴後、水分を拭き取ったらすぐに塗る

皮膚の乾燥を防ぐために、できるだけ早く、軟膏を塗りましょう。

3.たっぷりと皮膚に乗せるように塗る

湿疹のある部分は吸収がよいので、すり込む必要はありません。また、湿疹がある部分はデコボコしているため、軟膏を薄く伸ばしたり、すり込んでしまうと、出っぱっている部分に薬がつかず、よくなりません。○たっぷりと乗せるように塗ると、湿疹部分に薬がつく。→湿疹がよくなれば、薬の量も少なくなります。×すり込んだり、薄く塗ると湿疹部分に薬がつかない。

大人の両手のひら分の面積に塗る量=チューブの薬を、大人の人差し指の先から第一関節まで出した量= 0.3 ~0.5g 程度※ただし、担当の医師からの指示がある場合には、それに従ってください。

頭皮にローションタイプの薬や保湿剤を使う場合 季節によって、ローションタイプの薬が処方されることもあります。頭皮に使う場合は、ローションを髪の毛が吸い取ってしまわないよう、髪を分けて地肌を出し、そこにローションをたらして指で伸ばします。2cm置きに髪を分けて、同じようにして全体につけていきます。軟膏の管理方法●有効期限を確認しましょう。容器の底やチューブのおしりの部分に記載されています。●夏に室温が高くなる場合は、分離しないよう冷蔵庫で保存しましょう。●分離して水が出てしまっている軟膏は、使わずに捨てましょう。●大きな容器の場合は、直接指で取ると雑菌が入りやすいので、専用のスプーンを用意し、小さな容器に小分けして、使用するとよいでしょう。

子どもがひとりでできる軟膏の塗り方 1 塗布する部位に必要な軟膏を手のひらにのせます。 2 手のひらで3 回くらいまわしながら、塗り伸ばします。 3 塗る部位にスタンプのように手のひらについた軟膏をおきます。 4 全体に塗り伸ばします。手足に塗り伸ばすときは、「たてたて、よこよこ」の要領で。

医師に的確な情報を伝えることが、適切な治療につながります。

イラストきれいになった皮膚でも、また湿疹が出てしまったら、

  • 湿疹の出る前の状況
  • 湿疹が出たときの悪化因子(汗や汚れ)が何だったか
  • 湿疹がどのくらいでおさまったか
  • かゆみがどのくらいあったか
  • 何か対処をしたか
  • その後どうだったか


などをきちんと医師に伝えましょう。

湿疹が出た状態を写真に撮っておき、それを見せるのも、医師が症状を把握するのに大変役立ちます。

軟膏を塗るときは、体を洗うときと同様、以下のことに注意!◆ひじ、ひざ、わきの下、おしりの下などは、しわを伸ばして塗る。◆指のしわは、片方をグー、片方をパーにして。◆耳の裏、耳たぶ、髪の生えぎわなども忘れずに。

湿疹が出ない状態を目指して ~アトピー性皮膚炎の治療のすすめ方

東京都立小児総合医療センター アレルギー科部長 赤澤 晃先生

アトピー性皮膚炎の治療では『正しいスキンケア(体を洗って保湿剤を塗ること)を毎日行えば、湿疹が出ない状態』を目指します。

そのためにはまず、湿疹があるときは、ステロイド外用薬などを使用して皮膚の炎症を抑えることが最優先となります。これに加えてスキンケア、悪化要因の対策を行うことで薬の 治療効果も高まります。

ステロイド外用薬の副作用を心配し、医師の指示どおりに薬を使わなかったり、中途半端に止めてしまったりすると、薬の効果が出なかったり、再び炎症が起こり、湿疹がいつまでたってもよくならない、ということにつながります。

ステロイド外用薬は、アトピー性皮膚炎の標準的な治療方法です。アトピー性皮膚炎の薬物療法で大事なことは、どの薬をどこに、どのくらいの量、どのくらいの頻度でいつまで使用するのかを明確にすることです。自己判断で中断せずに、主治医に説明を聞き、指示されたとおりに使用しましょう。

短期間で体質を変えることは難しいですが、このように適切な治療を実践していけば、徐々に薬の量が減り、最終的には薬を使わなくても湿疹のないきれいな皮膚を維持できるようになります。ただし、症状の再発を防ぐために、その後も引き続きスキンケアと悪化要因の対策は続けましょう。


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