
すこやかライフNo.44 2014年10月発行
近年、吸入ステロイド薬などが普及し、ぜん息発作を起こさずに日常生活を送ることが比較的、容易になってきました。しかし、発作が起こる原因は人によってさまざま。気道のよい状態を保ち、発作を予防するためには、薬だけに頼るのではなく、日常生活の中に潜む発作が起こる原因や悪化要因を明らかにし、それに合った対策を立てることがとても重要になります。
そこで今回は、神奈川県立こども医療センターアレルギー科医長の高増哲也先生と相模原病院臨床研究センターセンター長の谷口正実先生に、ぜん息発作を起こさずに良好なコントロールを保つために、日常生活の中でできるさまざまな対策について伺いました。
1989年広島大学医学部医学科卒業。広島共立病院、東京大学小児科、茅ヶ崎市立病院小児科、横浜市立大学寄生虫学などを経て、99年から現職。
日本小児難治喘息・アレルギー疾患学会理事、教育研修委員、日本アレルギー学会 男女共同参画委員、日本病態栄養学会 専門医制度委員。
ぜん息の症状は空気の通り道が普段から腫れていて、敏感なために起きますので、毎日予防薬を使うことはとても大事です。でも、どんな時に調子が悪くなりやすいかは、人によって違うもの。その最大のヒントは、生活の中にあるものです。布団に入ったら目や鼻がかゆくなったりしていませんか? 走り回って遊んでいたらせき込んだりしていませんか? 空気中の物質で影響が多い代表格は、たばこの煙、線香の煙、花火の煙です。気にしていなければ気づかないままでいるかもしれないので、ちょっと気をつけてみてください。
1981年浜松医科大学卒業後、同第2内科入局。88年藤枝市立志太病院呼吸器内科医長、94年藤田保健衛生大学呼吸器アレルギー内科講師、97年米国テネシー州バンダービルト大学肺研究センター客員研究員を経て、99年国立相模原病院アレルギー科医長兼気管支喘息研究室室長、2008年同内科系総合診療部長兼藤田保健衛生大学内科客員教授、11年相模原病院臨床研究センター病態総合研究部部長に。14年から現職。
ほとんどの患者さんは、ご自分のアレルゲンをご存じありません。ぜん息治療においては、薬を使うことと同時に、ご自身のアレルゲンをしっかりと調べて、それに合わせた対応策をとっていただくことが重要だと思っています。ときには、患者さんから医師にアレルゲンを調べてほしい、と告げていただくことも必要だと思っています。患者さん自身もアレルゲンやぜん息についていろいろと知っていただき、積極的に治療に参加していただきたいと思います。