WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.44 2014年10月発行

小児ぜん息 成人ぜん息特集:ぜん息治療 薬だけに頼っていませんか?

アレルゲン対策

ホコリと湿気対策がカギ

もっとも多くの人のアレルゲンとなっているのが「コナヒョウヒダニ」と「ヤケヒョウヒダニ」という目に見えないほど小さなダニです。これらの生きているダニだけでなく、死がいやフン、脱皮した抜け殻などを吸い込むことで症状が起こります。これらのアレルゲンとなるダニは、人を刺すダニとは異なります。

ダニ、カビはホコリの中に多く生息しています。さらにアレルゲンになりやすい昆虫の中にはカビをエサにして生きているものもおり、カビもダニも湿気の多い場所を好みます。そこで、まずはこれらのアレルゲンに共通した「ホコリ」と「湿気」対策から始めてみましょう。

ぜん息の症状を引き起こす原因(アレルゲン)になりやすいのは?

ダニカビ

ペットガ、ゴキブリ、チャタテムシなどの昆虫

写真提供:(株)エフシージー総合研究所環境科学研究室 川上裕司先生(農学博士)
NPO法人カビ相談センター代表 高鳥浩介先生

ダニ、カビはホコリの中に生息 カビをエサにする昆虫も

ダニ、カビは部屋の隅やタンスの裏に集まるホコリの中に生息します。そのため、カビをエサとする昆虫も集まりやすくなります。

カビ・ダニなどに共通する対策

湿気をためないようにする(室内の湿度は50%以下を目安に)

  • とにかく室内の風通しをよくすること
  • 長時間留守にする場合などは、空気のよどみを作らないよう扇風機を「弱」で回しておくのも効果的
  • 24時間換気機能や除湿機があれば活用する
  • 観葉植物や水槽があると湿気があがるのでなるべく置かないようにする

ホコリをためないようにする

  • 掃除機を使った掃除が基本
  • 目に見えるホコリをこまめに取り除くこと
  • 掃除機をかけるときは、排気を吸わないよう窓を全開にする
  • 掃除機のダストパックを二重にする、こまめに取り替えるなども効果的

アレルゲン別対策のポイント

ダニがアレルゲンの場合

  • 布団カバーやシーツの洗濯、押し入れの風通しをよくする
  • 市販の防ダニシーツを活用してもよい
  1. ※そのほかのダニ対策については、環境再生保全機構発行のパンフレット「ダニ対策の実践」をご覧ください。

カビがアレルゲンの場合

  • エアコンのフィルターにはカビが生えやすい。掃除をして使用すること
  • カビの胞子が室内中に飛び散るため、冬でも加湿器は要注意
  • 台所や浴室のふきんやタオルは毎日交換し、洗濯する。スポンジなどの小物類とともに晴れた日には十分天日干しする
  • 北側の部屋には湿気がこもりカビが生えやすいので、窓を開けてこまめに換気をする

ペットがアレルゲンの場合

ペットの中では猫や犬、ハムスター、ウサギなどがアレルゲンとなって発作を引き起こす原因になってしまうことが多々あります。

動物がアレルゲンであっても症状が出ない場合はそれほど問題になりませんが、動物のアレルゲンは低分子で非常に軽いため、掃除だけでは室内から取り除くことが難しく、飼っている部屋だけでなく、家中に広がってしまいます。

症状が出てしまう場合は、飼わないか、屋外で飼育し毛を家の中に持ち込まないなどの配慮が必要です。

コラム

チャタテムシがアレルゲンとして注目され始めています

チャタテムシとは、日本のどの家庭にも生息している、1から2mmくらいの大きさの昆虫です。畳の上や古本の中などから見つかることが多く、本シラミとも呼ばれています。

現在はまだ、チャタテムシがアレルゲンかどうかを調べるための検査方法は確立されていませんが、チャタテムシは湿気が多いところを好み、カビをエサにして生息しているため、ダニやカビと同様の対策を取ることで、症状を抑えることにつながります。

写真提供:
(株)エフシージー総合研究所環境科学研究室 川上裕司先生(農学博士)
研究者:
(株)エフシージー総合研究所環境科学研究室長 川上裕司
独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター診断・治療薬開発研究室長 福富友馬ら

家庭で粉製品を長期保存する場合は注意しましょう

開封してから数カ月たったお好み焼き粉やたこ焼き粉などの粉製品の中でダニ(注1)が増殖し、アナフィラキシー(注2)を起こすこともあります。

ダニはかつおぶしなどのうまみ成分が好物で、味付きの粉の中に入り込みます。加熱により死にますが、死がいもアレルゲンになります。また、お好み焼きは加熱が十分でないことも多く、症状を引き起こす原因となっているようです。

ダニは非常に小さいため、袋を輪ゴムやクリップで閉じていても入り込みますが、低温では生きられません。開封したら密閉容器に入れて冷蔵庫で保管し、早めに使い切るようにしましょう。

  1. (注1) 海外では「貯蔵ダニ」と呼ばれる種類のダニが粉類の中に多く見られますが、日本ではぜん息のアレルゲンとなるダニと同じ種類のものが、粉類の中からも多く見られます。
  2. (注2) アナフィラキシー…アレルゲンを食べたり吸い込んだりしてから短時間で現れるアレルギー症状。皮膚、粘膜、呼吸器、消化器、循環器など複数の臓器に症状がみられます。

目次

このページの先頭へ