
すこやかライフNo.45 2015年3月発行
特集:アレルギー児の安心・安全な学校生活のために 入学・進学のときに知っておきたいこと
保護者との面談後、学校は「アレルギー児の安全」を第一に考え対応を決定します。この場合、学校側の体制などにより、保護者の要望が受け入れられないこともあるかもしれません。しかし、何よりも大事なことは、園・学校内でアレルギー児が安全に生活を送ることです。保護者も、一度にすべての要望を伝えるのではなく「できるところから取り組みをお願いします」という気持ちで、一番にお願いしたい対応から順を追って説明してみましょう。
また、要望しようとしていることが妥当かどうか、自己チェックすることも大切です。学校に求められるのはあくまでも、医師の診断、学校生活管理指導表に基づいた対応です。たとえば、食物アレルギーと食の嗜好や食の安全への要望は区別する必要があります
保護者も学校職員も医療の専門家ではありません。医師の正しい診断のもと、お互いが協力し合ってアレルギー児を支えていく、という意識を持って取り組んでいきましょう。
小学校入学は、子どもの自立をうながす大きなきっかけです。新しいランドセルで教科書を持って、自分で歩いて学校に行くという環境の変化から、子ども自身も「今までと違う」という意識を持つようになるからです。
学校という集団生活の中では、アレルギー児への配慮を多く先生方に求めることはできません。ランドセルを買って「1年生になる」という気持ちを子どもが持ち始めたときから入学に備え、以下のようなことについて家庭で話し合い、子どもが少しずつでも自分のことは自分でできるように準備しておきましょう。
友だちに助けてもらったとき「ありがとう」を言うのも忘れずに。
アレルギー疾患のある児童がクラスにいる場合、「この子にはアレルギーがあるから見守ってください」という言い方をすると「どうしてこの子だけのために?」と疑問に感じる児童も出てくるおそれがあります。また、小学生になると本人も「なぜ自分だけ違うの?」と自覚し始めます。
そこで「この子は特別だから」ではなく、目の悪い子もいれば、背が低い子もいるし、かけっこが遅い子もいれば、くつのひもを結べない子もいる……など、みんなそれぞれ得意なことも苦手なことも違うんだと説明し、「お互いに困っている子がいたら手伝ってあげましょう」という伝え方をしてみてください。
思いやりの心が育つと、アレルギー疾患のある子どももクラスメイトに助けられたり、助けたりし合えます。