WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.46 2015年9月発行

成人ぜん息特集:成人ぜん息が増えています 治療と自己管理の見直しを!

成人ぜん息の自己管理

ぜん息治療において、薬物治療と並んで重要なのが、ぜん息の原因となるアレルゲンや、症状を悪化させる要因を取り除く自己管理です。

成人ぜん息患者さんにとって、とくに重要な自己管理

禁煙

喫煙は、呼吸機能を低下させ、ぜん息を悪化させる原因となります。また、喫煙していると吸入ステロイド薬が効きにくくなり、定期的に吸入をしていてもぜん息が改善されません。

現在は、我慢する禁煙ではなく、薬局で購入できるガムやパッチ、病院で医師のサポートを受けながら禁煙する禁煙外来など、できるだけストレスをためずに禁煙する方法がたくさんあります。喫煙者の方は、一刻も早く禁煙しましょう。

また、他人のたばこの煙を吸ってしまう受動喫煙でも同様です。喫煙所などの煙の多い場所を避けるなど、注意しましょう。

感染症予防

かぜやインフルエンザ、肺炎などウイルスや細菌に感染して起こる呼吸器の感染症は、ぜん息を悪化させます。とくに空気が乾燥する冬は、マスクや手洗い、うがいを心がけましょう。

また、インフルエンザの予防接種や、65歳以上の方は肺炎球菌ワクチンの接種も欠かさずに受けましょう。

肥満予防

肥満はぜん息を悪化させる大きな原因です。肥満によって気道が圧迫され、気道の閉塞を促すことに加えて、太ることによって増えた脂肪細胞から、ぜん息を悪化させる「炎症性サイトカイン」という物質が放出され、吸入ステロイド薬の効果が下がり、炎症がなかなか治まらずに、ぜん息の悪化を招く、ということがわかってきました。

高血圧症や脂質異常症などの生活習慣病予防と同様に、食事のカロリーコントロールや適度な運動などで肥満を予防することが、ぜん息の悪化予防にもつながります。

今日からはじめる肥満予防

  • 毎日体重計にのる
  • 主食、主菜、副菜のそろったバランスのよい食事を心がける
  • 朝、昼、晩、決まった時間に食事をとる
  • 就寝前、2時間は食べない
  • ゆっくりよく噛んで食べる
  • 近所への買い物や外出は徒歩で
  • 1日合計30分以上、ウォーキングやサイクリングなどの有酸素運動を習慣に

そのほかの自己管理

  • ストレスはぜん息を悪化させます
  • 疲れを感じたらゆっくり休んで心身をリラックスさせる。
  • 不安や悩みを誰かに聞いてもらうなど、ストレスから身を守る対策も重要です。

  • できるだけペットを飼わない
  • こまめな掃除で、身の回りのダニやほこりを減らす
  • 睡眠不足を避け、規則正しい生活を送る

高齢者ではとくに注意!ぜん息とCOPDが合併していることがあります

近年、ぜん息とCOPD(慢性閉塞性肺疾患)が合併している状態を示す「ACOS(エーコス)注1」という概念が注目されています。

とくに喫煙歴のある中高齢者のぜん息患者さんでは、COPDを合併している率が高いと考えられています。ACOSになると、より症状が悪化しやすいので注意が必要です。

ACOSの治療は、ぜん息と同様に基本は吸入ステロイド薬です。そこに、長時間作用性β2刺激薬や、長時間作用性抗コリン薬を組み入れます。

気になる方は一度、医師に相談してみましょう。

注1
Asthma COPD Overlap Syndromeの略

このような症状があったら、ACOSかもしれません

現在、ぜん息と診断されている患者さん

坂道を上ったり、急に動くと呼吸が苦しくなる

現在、COPDと診断されている患者さん

動かなくても、発作性の呼吸困難がある(とくに朝、晩)


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