大気環境の情報館

有害大気汚染物質に対する環境リスク対策(1996年~)

発ガン性等の有害性を有するベンゼン等の多種多様な有害大気汚染物質が低濃度ではあるが検出されており、これらの物質への長期暴露による健康影響が懸念されています。欧米では、1990年前後から有害大気汚染物質への対策が講じられてきていますが、わが国ではやや取組が遅れましたが、人の健康や生態系に及ぼす影響の科学的なリスク評価が開始されました。

1996年には、大気汚染防止法の改正により、事業者に排出抑制の自主的な取組を求めるとともに、行政の広範な物質についてのモニタリング、健康リスク評価などを行うこととなりました。さらにベンゼン等現在既に早急な排出抑制が求められる物質については、具体的に排出抑制基準及び環境基準を設定して、より一層確実な排出抑制を図ることとしました。

また、事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境保全上の支障を未然に防止するため「特定化学物質の環境への排出量の把握及び管理の改善の促進に関する法律」(PRTR法)が1999年に制定され、環境汚染物質排出・移動の登録が制度化されました。

なお、ベンゼン等の意図的に製造される有害化学物質のほかにも、ダイオキシン類のような非意図的に生成される有害化学物質による環境汚染も問題となっています。ダイオキシン類については、環境汚染の防止及びその除去等を図るため、議員立法により、「ダイオキシン類対策特別措置法」が1999年7月に制定されました。同法に基づき、耐用一日摂取量(生涯にわたって継続的に摂取したとしても健康に影響を及ぼすおそれがない、一日当たりの摂取量)、大気汚染等に関する環境基準、排出ガス規制等が定められています。

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