WEB版すこやかライフ ぜん息&COPD(慢性閉塞性肺疾患)のための生活情報誌

すこやかライフNo.42 2013年9月発行

小児ぜん息 アレルギー医療トピックス 食物アレルギーのための知っておきたい食品表示の見方~誤食を防ぐために~

食べられる範囲を広げ「楽しい」食生活を送ることを目標に

~完全除去から必要最低限の除去へ~

食物アレルギーの治療において、原因となるアレルギー物質を除去して誤食による危険な誘発症状を防ぐことは、何より大切なことです。そのためには、食品表示を理解して、きちんと確認することが必要です。

ただし、症状が出ることを恐れるあまり、実際は食べられる食品まで除去してしまっては、子どもの食生活が制限され、成長に必要な栄養を十分にとれなくなってしまう恐れも出てきます。

アレルギー症状が出たかどうか疑わしい食品、アレルゲンの血液検査が陽性であった食品、一般的に強いアレルギーを起こすといわれている食品などを、「念のため」「心配だから」「とりあえず」除去してしまうことは、必ずしも正しくありません。本来食べられる食品を不必要に除去しないためには、アレルギーを専門とする医師のもとで食物経口負荷試験も含めて正しい診断を受け、本当に除去が必要な食品を見極めることが大切です。

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さらに、アレルギー症状を引き起こす原因食物であっても、安全に食べられる量や調理方法、加工食品などが確認できれば、食べられるメニューも増え、生活の質も向上します。食べられる量は徐々に増えていく場合もあり、それがやがて除去食の解除につながっていきます。

このように、疑わしい食べ物をやみくもに「完全除去」するのではなく、「必要最低限の除去」を目指すことが、最近の食物アレルギーの診療における基本的な考え方です。

食物アレルギーのお子さんであっても、主治医や栄養士などとよく相談しながら、「健康的で」「安心できる」「楽しい」食生活を目指したいですね。

必要最低限の除去とは 1.食べると症状が誘発される食物だけを除去する。 →必要以上に除去する食物を増やさない。 2.原因食物でも、症状が誘発されない〔食べられる範囲〕までは食べることができる。→〔食べられる範囲〕を超えない量までは除去する必要がなく、むしろ積極的に食べることができる。

「念のため」「心配だから」「とりあえず」と自己判断で除去するのではなく、アレルギー専門医のもとで正しい診断を受け、「必要最低限の除去」を目指しましょう。


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