
すこやかライフNo.44 2014年10月発行
ERCAレポート:アレルギー疾患の知識だけでなく実践的なスキルも学ぶ
講師:増田 進 先生(八千代病院小児科部長)
初めに増田先生はエピペン®の作用や副作用について説明されました。使用するタイミングの判断については、日本小児アレルギー学会が示した、13の「緊急性の高いアレルギー症状」(基礎用語参照)のうち一つでも当てはまるものがあれば、エピペン®注射の適応であることを強調して説明されておりました。そのうえで、「アナフィラキシーかと迷ったら打つこと。それでも迷うときは担当医に電話し症状を説明して判断を仰げば、自信をもって対応できます」とアドバイスされました。
基礎用語 【食物アレルギーの「緊急性の高いアレルギー症状」】 (PDF:460KB)
続いてエピペン®の準備と注射の手順について、トレーナーを使いながら、説明が行われました。
最後に小児アレルギーエデュケーターが壇上で、アナフィラキシー症状を起こした幼稚園児と教諭の設定でロールプレイを演じました。
ロールプレイでは、緊急時の対応の全体像がイメージできるよう、症状を起こした園児を発見した担任が人を招集する場面に始まり、症状の観察、安静を保つ体位の取り方、エピペン®注射 の準備と使用、救急要請まで一連の流れが展開されました。
その流れの中では、「複数の人で対応する」「注射担当者は、注射直前まで手技の確認をし、観察担当者は観察に専念する」「手順を声に出して確認し、チームで共通の認識を持つ」「子どもを不安にさせないために、担任は子どもから離れない」など重要なポイントも、改めて確認されました。
先生は、「普段から練習を繰り返しして、手順を人に教えられるぐらいに頭に入れておくことが大事です。それと同時に習うよりも慣れろも大事。学校・園など教育関係者の方々は、防災訓練と同じように、エピペン®の模擬訓練をしてほしい」と訴えました。
具合の悪くなった子どもを発見した担任は他の先生たちを呼び、それぞれ役割分担をする。また1人は、症状を観察するとともに子どもの不安を和らげるため、必ず寄り添う。
エピペン®の準備と使い方の確認。子どもはその場で安静にさせる。
エピペン®を打つ時は、複数の人で子どもを固定し、必ず子どもに声をかける。打った後も症状を観察する。